マネーフォワードは11月7日、「マネーフォワード クラウド」において、デジタルインボイス対応を開始すると発表した。今回、デジタルインボイス対応するサービスは、マネーフォワード クラウドにおける「マネーフォワード クラウド請求書」「同クラウドBox」「同クラウド会計」「同クラウド確定申告」となり、送信側と受信側をつなぐアクセスポイントとして「同クラウドPeppolコネクト」も稼働を開始する。
デジタルインボイスは請求業務をデータの送受信で完結させる方法となり、請求書をデータでやりとりすることで仕訳作成、請求書保管などの経理担当者の作業の手間が省けるというもの。将来的には支払処理や入金消込などの後続業務まで、バックオフィス業務の効率化が期待できるという。
デジタルインボイスで請求データを送受信するには、利用サービスが電子文書を相互運用するための国際規格「Peppol(ぺポル)」に対応している必要がある。これは送り手が、送り手側のアクセスポイントを通じてPeppolネットワークに接続し、受け手のアクセスポイントにデータを送信することで、受け手に請求データが届く仕組み。
Peppolに対応したサービスであれば、導入している請求書ソフトや会計ソフトのベンダーが送り手と受け手が異なっていても、デジタルインボイスを用いたやりとりを可能としている。
Peppolはベルギーの国際的非営利組織であるOpenPeppolが管理し、世界30カ国以上で利用されており、日本における運用はデジタル庁が管理し、Peppolをベースに日本の商習慣に合わせた標準仕様「JP PINT」を策定している。
2023年10月1日にインボイス制度が開始し、適格請求書発行事業者の判定や仕入控除税額の計算など新たな業務が発生し、バックオフィス業務は複雑化している。多くの企業では、これまで紙をベースとしていた請求書をスキャンしてPDF化するなど、請求書の電子化を行うことで、業務負荷軽減や効率化に向けた取り組みを進めている。
しかし、さらなる効率化のために従来の請求書の形式をとらず、データの送受信で請求業務を完結させるためにデジタルインボイスがある。国内でデジタルインボイスが普及するためには、各事業者が対応サービスを使用していることに加え、ベンダー同士を繋ぐパイプ役、アクセスポイントプロバイダーとなる事業者が不可欠となる。同社は、デジタル庁からアクセスポイントプロバイダーの認定を受けている。
送り手側はマネーフォワード クラウド請求書で取引先にPeppolネットワークを通じて請求データを送信できる。送信した請求データは同クラウドBoxに自動で保存され、インボイス制度によって送付側にも義務づけられた請求書の保管が自動で行うほか、電子帳簿保存法の保存要件も満たした形で保管される。
受け手側は受領したデジタルインボイスがマネーフォワード クラウドBoxに自動で保管され、受領した請求データから仕訳候補を自動生成し、同クラウド会計、同クラウド確定申告(モバイル版は対象外)に表示される。
今後は「マネーフォワード クラウド請求書Plus」「同クラウド債務支払」「同クラウドインボイス」への対応を予定している。
なお、デジタルインボイスの利用開始には、Peppol IDの追加が必要となり、IDを新規作成する場合は、法人番号、またはGLN(企業・事業所識別コード)を使用し、マネーフォワード クラウドの管理コンソール画面から作成する。