アイ・ティ・アール(ITR)は11月7日、国内のSASE(Secure Access Service Edge)運用監視サービス市場規模推移および予測を発表した。SASEの概念の浸透と提供ベンダーの増加により、2022年度、2023年度ともに40%近い成長率を継続するという。
SASE運用監視サービス市場の2022年度の売上金額は20億8,000万円で、前年度比37.7%増となったた。リモートワークやクラウドの普及により、従来の境界型防御中心のセキュリティ対策では不十分となり、クラウドセキュリティとしてSASEの概念が浸透しつつあるという。
SASEを構成する中核機能であるCASBやZTNAなどの導入が拡大しているものの、専任要員やスキルの不足によって使いこなせない企業が多く、これらを販売・実装するベンダーが運用監視サービスをメニュー化する動きが見られるという。
これらを背景に同サービスを新たに導入する企業が増加し、SASE運用監視サービス市場の2023年度は同38.5%増が見込まれるという。ITRでは、同市場のCAGR(2022~2027年度)は19.3%、2027年度には50億円に達すると予測した。
ITRのコンサルティング・フェローである藤俊満氏は、次のようにコメントしている。「ランサムウェア攻撃などのサイバー攻撃の増加に伴い、境界防御型セキュリティからゼロトラスト型セキュリティへの進化が求められています。しかし、全面的にゼロトラスト型セキュリティを導入することは難しいため、部分的なゼロトラスト型セキュリティともいえる、CASBやZTNAなどのセキュリティソリューションの組み合わせであるSASEを導入するユーザーが増えています。これには、ソリューションの導入だけではなく、専門のスキルを持った要員による運用監視が必要となることから、SASE運用監視サービスの市場は今後も大きく伸びると予測されます」