三菱電機とフィンランドのVisual Componentsは3Dシミュレーターを開発・販売する合弁会社「ME インダストリアルシミュレーションソフトウェア」を設立したことを発表した。出資比率は三菱電機が70%、Visual Componentsが30%で、2023年11月1日付で営業を開始している。
近年、ものづくりの現場は労働力不足や生産性、品質向上の問題などさまざまな課題に直面している。そうした中、三菱電機はファクトリーオートメーション(FA)システム事業を通して、こうしたものづくりの現場にある課題の解決に向けたソフトウェアのラインアップ強化を図ってきており、デジタルマニュファクチャリングの実現に向けた取り組みを強化してきた。
例えば、2022年3月に発売された3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini(ジェミニ)」では、3Dを用いてデジタル空間上に生産設備やラインを構築し、設計・設備・ライン立上げ時の工数を削減するデジタルツインプラットフォームを提供。製造業のエンジニアリングチェーンにおける設備投資や維持管理にかかる費用の削減に貢献している。
今回の三菱電機とVisual Componentsとの合弁会社設立には、このようなデジタルツインプラットフォームをさらに充実させ、循環型デジタル・エンジニアリング事業の強化を計る狙いがあるという。
Visual Componentsの提供するソフトウェアは、FA機器メーカーのPLCやロボットとの接続機能、3Dシミュレーターの機能を拡張するためのインタフェースなど標準で備えられており、三菱電機のFA機器とも親和性がある。
そのため、三菱電機がもつ制御技術やこれまで培ってきたものづくりの知見と、Visual Componentsの技術とが組み合わされば、すでに発売されている「MELSOFT Gemini」の機能やサービスをさらに進化させることもできるだろうとの思惑から、このたび合弁会社の設立に至ったという。
具体的な方針としては、Visual Componentsの開発・ノウハウを充分に活用するためフィンランドに開発拠点を立ち上げ、3Dシミュレーターによる装置制御検証に強いシミュレーション環境を提供。制御ロジック生成による設計効率化とものづくりデータ活用による生産性の向上を実現する新機能を開発していくという。
また、Visual Componentsのセールスエンジニアと連携し、日本やアジアを中心に、FAシステム事業のソリューション提案力を強化、企業ごとの多様化しているものづくりに対する課題の解決に貢献していきたいとしている。