レノボは、米国テキサス州オースティンで10月24日に開催された、第9回グローバル年次イベント「Tech World」において、「AI for All」のビジョンの基づいた包括的なAI機能を発表した。
レノボは、すでに発表しているAIへのさらなる10億米ドルの投資に加え、今回、パブリック基盤モデル、企業向けのプライベート基盤モデル、個人利用のパーソナル基盤モデルを組み合わせる「ハイブリッドAI」へのアプローチを発表した。
このAIは、デバイス内のみで動作させることも、オンプレミスのサーバーで安全に動作させることも可能。どちらも個々のユーザーから提供されたデータ、または企業の専有データから学習するが、情報が公開されたりオープンな学習データセットに入ったりすることはないとしている。
レノボはハイブリッド・アプローチを通じ、強力かつカスタマイズ可能で、拡張性があり、エネルギー効率の高いAIを提供するために、AIに最適化された次世代のインフラストラクチャに取り組んでいるという。
また、レノボは、NVIDIAのTime to Marketパートナーとして、エッジからクラウドまでデータが作成されるどんな場所でも、AIが搭載されたコンピューティングシステムを提供し、カスタム生成のAIアプリケーションを簡単に導入できるを支援を提供するとしている。
今回の協業を通じてレノボとNVIDIAは、NVIDIAのMGXモジュラー・リファレンス・デザインをベースとした次世代システムを構築し、生成AIのワークロード向けに堅牢でセキュアな幅広いソリューションを提供することで、企業がNVIDIA Omniverseプラットフォームで認知的意思決定を実施できるよう支援する。両社は新しいLenovo AI Professional Services Practiceにより、企業がAIを容易に導入し、AI主導の変革を開始できるよう支援するということだ。
また、レノボは、AI対応デバイスとAI搭載機能のデモを実施した。キーボード上のAIインタラクションやエンドユーザーからの自然言語だけでなく、AI PC向けのAIアシスタントである「AI NOW」によって実現されるという。このAIは、ユーザー自身のデバイス上の知識ベースと微調整されたモデルに基づき、プライベートな推論モデルを使用してセキュリティとプライバシーを保護するとしている。
さらに平行して、レノボの折りたたみ式デバイスやさまざまな形に曲げたり形作ったりできるスマートフォンのアダプティブ・ディスプレイ・コンセプト、さらにはAIを活用したモーションキャプチャのためのトータルソリューション「Project Chronos」のアップデートも発表した。
また、スマート製品への注力の一環として、同社は企業に関する深い知識を持ち、その知識を非公開かつ安全に保つAIであるEnterprise AI Twinのビジョンを発表した。企業内のデバイス、エッジ、プライベートクラウドから関連情報を見つけて抽出し、それらを総合して評価と結論を導き出し、ソリューションを提案するという。たとえば、従業員が出張準備時に会社の規定や従業員の好みを考慮した予約を支援するほか、天候パターンなどの公開AI情報に基づいて、顧客からの注文や天候が出荷に与える影響、部品の到着、輸送の混乱などを調べ、リスクを軽減することが可能になるなど、さまざまなシナリオに使用することができるとしている。