富士経済は、最近の半導体材料市場の調査結果をまとめた「2023年半導体材料市場の現状と将来展望」を発行したことを発表した。

それによると2022年上期より在庫調整に入った半導体市場の影響は2023年も続いており、半導体材料市場も前年比9.4%減の465億ドルに留まることが見込まれるという。工程別に分けると、前工程材料市場は同11.9%減の334億ドルと予想されるが、EUV向けフォトマスクやフォトレジストの需要は増加しているほか、トランジスタ構造の変化や3D NANDの高層化による工程数増加などの影響から既存の成膜材料、エッチング材料、洗浄液などの需要も増加することが予想されているほか、後工程材料市場は同2.2%減の131億ドルが見込まれている。2024年については、市場全体で前年比5.8%増の494億ドルに成長する見込みとしているほか、その後も成長が続き、2027年には2022年比で14%増の586億ドルに達すると予測されるとしている。

  • 2023年と2027年の半導体材料市場予測

    2023年と2027年の半導体材料市場予測 (出所:富士経済)

主な材料別に見ると、フォトマスク市場は2023年の2022年比3.2%減の59億ドルから、2027年には同13.1%増の69億ドルに、フォトレジスト市場は2023年の同8.7%減の28億ドルから、2027年には同21.7%増の28億ドルに、CMPスラリ市場は2023年の同10.5%減の17億ドルから、2027年には同21.1%増の23億ドルとそれぞれ予測されている。特にCMP工程は、ロジック半導体でのレイヤ層の増加やトランジスタ構造の複雑化に伴う工程数の増加、3D NANDにおけるセル面積の縮小を目的にロジック部とメモリセルをモノリシック構造で形成するCUA(CMOS Under Array)方式などの普及による工程数の増加などが市場成長の後押しとなると予測している。このほか、PFCエッチングガス市場は、2023年に同11.1%減の8億ドルから、2027年には同22.2%増の11億ドルに成長するとも予測している。

なお、このレポートでは、前工程25品目、後工程11品目を対象に調査を行ったとしており、同社では2024年には半導体材料の在庫調整が解消されると見られ、以降は次世代通信やAI、クラウドサービスの進展とともに半導体需要が高まり、半導体材料市場も市場拡大が続くことが期待されるとしている。