Samsung Electronicsが10月31日、2023年第3四半期の事業部門別業績を発表した。
それによると半導体(DS)部門の同四半期の連結売上高は前年同四期比29%減、前四半期比12.2%増の16兆4400億ウォン、営業損益は3兆7500億ウォンの赤字(前年同期は5兆1200億ウォンの黒字)だったという。第2四半期(4〜6月期)の赤字額4兆3600億ウォンからはやや改善したものの、赤字が継続した形となった。
半導体部門の売上高のうち、メモリの売上高は前年同期比31%減、前四半期比17%増の10兆5300億ウォン、非メモリ(ロジックやイメージセンサ製品などのシステム半導体事業やファウンドリ事業)の売上高は前年同期比24%減、前四半期比3%増の5兆9100億ウォンとなった。
メモリ事業は、前四半期比で損失が縮小したとする。具体的にはDRAM、NANDともに高密度製品の採用拡大や顧客の在庫調整の進展により、PCやモバイルの需要が改善したほか、従来型サーバ需要は低迷したものの、生成AI、高密度、ハイエンドサーバ需要は堅調であり、高付加価値品の売り上げが増加したという。全体として、ビットの伸びはガイダンスを下回ったが、DRAMとNANDともに平均販売価格(ASP)は前四半期比でやや上昇したことから、赤字額の改善につながったとしている。
第4四半期については、年末商戦ニーズを中心とするピークシーズンの到来によりPCならびにモバイルの需要も回復することが期待されるとするほか、PC、モバイルともに大容量化の傾向が予想以上に加速していることも後押しとなることが期待されるとしている。また、クラウドサービスプロバイダーの生成AIに対する投資は引き続き旺盛であり、売り上げの拡大が期待できるともしており、HBM3の生産拡大やDDR5/LPDDR5など、新たなインタフェース需要の高まりへの対応も図っていくとしている。
一方の第3四半期のシステムLSI事業は、主要アプリケーションの需要回復の遅れや在庫調整の影響を受け、収益の改善が想定よりも鈍化したという。また、第4四半期については、2024年の主力スマホ向けSoCの供給開始が予定されており、収益の改善が見込まれるとするほか、2024年はモバイル市場においてプレミアムモデルの比率を高めることで売り上げの拡大が見込んでいるため、システムLSI事業も主力製品の売上拡大とモバイル市場以外への事業領域の拡大により成長を目指すという。
このほかファウンドリ事業の第3四半期売上高は、モバイルを含む主要アプリケーションの回復が遅れた結果、稼働率が低迷したものの、HPC分野を中心にデザインウィンの獲得が進んだことで、四半期過去最高の受注残を記録したという。また、第4四半期については、大手顧客の新製品投入による需要の増加に伴う収益の改善が見込まれるとしている。また、第2世代3nmプロセスの歩留まり向上を継続して進めることでGAAプロセスの安定化を図るとともに、2nmプロセス向け設計インフラの確保も進めるとしており、2024年にはモバイルおよびHPCからの需要の増加により成長状態となることが期待されるとしており、HPC向け第2世代3nmプロセスならびに第4世代4nmプロセスの量産適用を計画しているほか、RFやeMRAMなどの特殊プロセスの開発に焦点を当て、さまざまなアプリケーションに拡張していくことで、製品ポートフォリオ全体を強化するとしている。
設備投資総額の9割を半導体に投入
第3四半期の同社全体の設備投資額は11.4兆ウォンで、そのうち半導体部門に10.2兆ウォン、ディスプレイ子会社であるSamsung Display Corporation(SDC)に0.7兆ウォンを投じたという。1~9月の累計は36.7兆ウォンで、そのうち半導体部門が33.4兆ウォン、SDCが1.6兆ウォンを占めている。2023年通年の設備投資総額は約53.7兆ウォンと見込まれており、そのうち半導体部門に47.5兆ウォン、SDCに3.1兆ウォンが割り当てられる模様で、総額の約9割が半導体に向けられることとなる。
具体的な投資案件としては、メモリについては韓国・平沢キャンパスに集中投資を行っている。P3(第3製造棟)のインフラ整備や中長期的な供給に向けたP4(第4製造棟)の枠組みの推進などが含まれているほか、HBMの生産能力確保など、新技術への投資も進められている。またファウンドリへの投資では、平沢におけるEUVプロセスの生産能力拡大や米国テキサス州テイラーでのインフラ投資が中心だとしている。