カナダ政府は10月30日(カナダ時間)、「Minister Anand announces a ban on the use of WeChat and Kaspersky suite of applications on government mobile devices - Canada.ca」において、カナダ政府支給のモバイルデバイスにおける「WeChat」および「Kaspersky製品」の使用禁止を発表した。これにより、カナダ政府が支給するモバイルデバイスからこれらアプリケーションは削除され、将来的にはダウンロードもブロックされる。

  • Minister Anand announces a ban on the use of WeChat and Kaspersky suite of applications on government mobile devices - Canada.ca

    Minister Anand announces a ban on the use of WeChat and Kaspersky suite of applications on government mobile devices - Canada.ca

WeChatは中国のテンセントが開発したインスタントメッセンジャーおよびソーシャルネットワーキングアプリで、世界中でサービスを展開している。月間利用者数は13億人を超えるともいわれている。Kasperskyはロシアのコンピュータセキュリティ企業で、主にアンチウイルスソフトウェアなどを開発、販売している。

カナダの最高情報責任者(CIO: Chief Information Officer)は、WeChatおよびKaspersky製品がプライバシとセキュリティに許容できないレベルのリスクをもたらすと判断したと禁止の理由を述べている。また、モバイルデバイス上でのこれらアプリケーションのデータ収集方法は、デバイス上のコンテンツへの相当なアクセスを提供するとして潜在的な危険性が指摘されている。なお、本稿執筆時点では、これらアプリケーションによって政府の情報が侵害された証拠はないとしている。

また、一般のユーザーがソーシャルメディアアプリケーションやモバイルプラットフォームを使用するかどうかは個人の選択だとして、一般ユーザーの利用に関しては特定の判断をしない方針を示している。ただし、カナダ通信保安局(CSE: Communications Security Establishment of Canada)のサイバーセキュリティセンター は、個人のソーシャルメディアの使用および組織で使用する際に考慮すべきセキュリティに関するアドバイスとガイダンスを提供しているとして、リスクの存在に注意するよう呼びかけている(参考:「Protect how you connect - Canadian Centre for Cyber Security」)。