イスラエルに本社を構えるCheck Point Software Technologiesは2023年10月30日(米国時間)、「Evolving Cyber Dynamics Amidst the Israel-Hamas Conflict - Check Point Blog」において、イスラエルとハマスの紛争の裏でイスラエル支持を表明している国々もサイバー紛争に巻き込まれていると伝えた。米国、フランス、インド、イタリアなどでサイバー攻撃が顕著に増加しているという。
Check Pointによると、この紛争の開始と同時に複数のサイバーグループがインターネット上で交戦の意向を表明したという。鹿児に植民地主義をとっていたフランスやインド、スリランカに対するさまざまなサイバー攻撃に定期的に参加してきたサイバーグループ「Mysterious Team Bangladesh」は、イスラエルに対するサイバー攻撃を開始する用意があると宣言し、「#OpIsraelV2」というハッシュタグをつけて集団行動を呼び掛けたという。
このサイバーグループは他のサイバーグループ「Team_insane_Pakistan」と協力し、宇宙関連、港湾当局、報道機関、イスラエル国防軍(IDF)、金融機関などイスラエル国内のさまざまな組織に対し攻撃を仕掛けたが、被害は最小限にとどまったとのこと。その後、インターネット上では米国のイスラエル支援に関連した米国企業へのサイバー攻撃の主張が多く見られるようになり、親パレスチナ派のチャンネルではサイバー攻撃の議論が盛んになったとしている。
このような紛争時の政治的なサイバー攻撃における標的の選定について、Check Pointは過去のサイバーグループの活動の影響がみられると指摘している。サイバーグループ「Cyber error system」は通常アジア地域、特にインドを標的に活動をしていると見られるが、今回この紛争を根拠として自らを正当化し、インドへ230回を超える攻撃を行ったという。
近年、ハクティビストグループ(政治的な主張を目的としてサイバー攻撃を行う集団)は、世界情勢に応じて戦略を即座に状況に適応させるという。このような集団は政治的な変化に敏感で、サイバー攻撃を駆使して国民の意識や国の政策に影響を及ぼしているとされる。これまでのところ、このようなサイバー攻撃による被害は比較的限定的と見られるが、政治的主張に基づく攻撃は持続性があると推測されることから脅威の進化と増加が懸念されている。
このような脅威から組織やシステムを保護するため、企業や組織においては、世界情勢に対する継続的な警戒、サイバーセキュリティ体制の改善、サイバーグループと同程度かそれ以上の早さで事態に適応できる戦略が求められている。