アリババクラウドは10月31日、年次イベント「Apsara Conference」の中でLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「通義千問(Tongyi Qianwen)2.0」と業界別の新モデルを発表した。モデルは現在、Webサイトやモバイルアプリケーション、開発者向けのAPI(Application Programming Interface)を通じて一般に提供している。
通義千問2.0は数千億のパラメータを持つ汎用モデルであり、言語理解や算術問題解決、質疑応答などの領域において主要なLLMベンチマークを達成しているという。また、拡張したモデルサイズと改良アライメント技術によって、複雑な指示の理解、コピーライティング、推論、記憶保持、ハルシネーション(幻覚)の防止などを可能にしている。
同社は企業がセクターを越えて生成AIの可能性を引き出し、ビジネスパフォーマンスを向上させるために、業界に特化した新たなモデルもリリースしている。対応する業界別には、カスタマーサポートやリーガル、ヘルスケア、ファイナンス、ドキュメント管理、オーディオ&ビデオ管理、コード開発、キャラクター作成などが含まれる。
生成AIの需要の高まりに対応するとして、同社はモデル開発とアプリケーション構築プロセスの合理化を目的としたオールインワンのAIモデル構築プラットフォーム「GenAIサービスプラットフォーム」も発表した。このプラットフォームはデータ管理や、モデルの展開および評価、プロンプトエンジニアリングのための包括的なツールセットを提供する。
また、広範なAIコミュニティの支援を目的として、アリババクラウドはAIコミュニティである「ModelScope」を含むオープンソースコミュニティへの貢献を示している。その他、今年11月には720億パラメータ版の通義千問をオープンソース化する予定だ。
加えて、同社は「Alibaba Cloud Startup Catalyst プログラム」を開始する。このプログラムではAI企業を含む有望なスタートアップ企業に最大12万米ドルのクラウドクレジット支援、無料のオンライン学習メンバーシップ、ネットワーキングの機会など、クラウドコンピューティングに関するリソースを支援する。