KDDI、シスコシステムズ(以下、シスコ)、富士通は10月31日、IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した地域網内ネットワークであるメトロネットワークの本運用を10月1日に開始したことを明らかにした。

このメトロネットワークは、WDM(Wavelength Division Multiplexing)用光信号を直接送受信可能なシスコ製ルーター「NCS5500」シリーズと、オープンインターフェースで他社製品と接続が可能な富士通製Open Line Systemの「1FINITY」シリーズを利用することで、IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成を実現している。

IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成は、ルーターとWDM用トランスポンダを接続する従来の構成と比べて、機器数が減っており電力使用量を約40%削減できるという。また、従来構成よりも容量拡張が容易なため、通信トラフィックの増大に迅速に対応できるとのことだ。KDDIは2028年度末までにIPレイヤーと光伝送レイヤーを融合したメトロネットワークを全国展開する方針。

  • メトロネットワークの構成例

    メトロネットワークの構成例

今回のような構成は、外付けで設置していたWDM用トランスポンダを実装するための筐体が不要となるため、消費電力の削減に加えて機器設置のスペースも接続できる。WDM用トランスポンダは小型化され光モジュールとなり、シスコ製ルーターに実装され、光モジュール自体も半導体製造プロセスの改良により低消費電力化を実現したという。

  • 従来の構成との比較

    従来の構成との比較

  • WDM用トランスポンダも小型化している

    WDM用トランスポンダも小型化している

メトロネットワークの局間伝送路で採用した富士通の「1FINITY」シリーズは、オープンインターフェースに対応し、他社製品を含むさまざまな機器との接続が可能な特徴を持つ。局間の伝送容量を拡張する際も、ルーター側のハードウェア増設や設定変更のみで容量の拡張に対応する。

  • ルーターインタフェースの伝送容量拡張

    ルーターインタフェースの伝送容量拡張