板金加工機を中心に、工作機械やレーザ加工機を製造し、ドイツに本社を構えるトルンプは、半導体製造装置に必要なプラズマ電源などのエレクトロニクス事業の日本国内での展開に力を入れていきたい方針を発表した。

  • 日本法人であるトルンプの高梨真二郎代表取締役社長とエレクトロニクス事業部長の村上晃永氏

    日本法人であるトルンプの高梨真二郎代表取締役社長とエレクトロニクス事業部長の村上晃永氏

1923年に創業してから今年で100周年を迎えるトルンプでは、売上高の約半分を板金やパイプを切る・まげる・穴をあける・溶接をするなどの一連を行うマシン事業が占めており、1つの大きな柱となっている。

日本法人のトルンプで代表取締役社長を務める高梨真二郎氏も、トルンプは板金加工機のイメージを強くもたれていることを述べており、同社の強みとして認識しているとする。しかし、ここ数年においては、日本で半導体に注目が集まっている情勢も相まって、エレクトロニクス事業が成長しており、同社にとってもう1つの柱となることを目指し投資を行うに至ったと説明。この日本におけるエレクトロニクス事業はグローバル拠点に比べても成長している分野だという。

  • トルンプの世界6か国・7拠点のグローバルネットワークの図

    トルンプの世界6か国・7拠点のグローバルネットワークの図

トルンプのエレクトロニクス事業は、1998年に日本法人が設立されて以降、事業として進めてきた背景がある。従業員数は2023年の時点で14名と比較的小規模で進めていたが、今回の事業拡大によって2024年までに30名ほどに増やしたい意向を示している。また、施設においても現在拠点としてある横浜の川崎市から、宮城の仙台市に移転を行い、仙台市の新拠点は2023年12月8日に開設される予定としている。新拠点となる施設内の総面積は800m2で、現在の川崎の拠点に比べ3倍以上の作業キャパシティを有しておりさらなる事業拡大に万全の態勢で挑む構えだ。

日本法人のトルンプでエレクトロニクス事業部 事業部長を務める村上晃永氏は、半導体や太陽光パネル、ガラス、ディスプレイ、産業用コーティングなどのプラズマ表面処理に用いられるプラズマ電源を主力製品として押し出していきたい考えを示した。

  • トルンプが提供するプラズマ表面処理ソリューション

    トルンプが提供するプラズマ表面処理ソリューション

現在、グローバルではエッチングや化学気相成長(CVD)など半導体前工程の製造装置向けが売上高の約8割を占めており、日本でも今後も拡大することが予想される半導体市場に合わせて同社の高性能のプラズマ電源を、まだ導入されていない企業やパワーIC系の新会社への導入を目指すとしている。他社のプラズマ電源との違いについて同氏は、「正確で再現性が高いところ」にあるとしており、国内には高性能のプラズマ電源を必要とする有力な半導体装置メーカーも多いため、同社のプラズマ電源は大きな役割を果たすとしている。

  • 1兆ドルに達する半導体IC市場

    2030年には1兆ドルに達するとも言われている半導体IC市場

なお、同社は2023年12月13日から15日に東京ビッグサイトで開催される半導体産業や製造技術、装置、材料などの展示会である「SEMICON Japan 2023」へも初出展することが決定しており、高梨氏は「5年以内にマシン事業と同程度ほどの売上高に成長させたいと思っている。今回のエレクトロニクス事業への投資は本気度の表れだと思ってもらいたい」と述べており、今後のエレクトロニクス事業への展望を述べていた。