Intelは10月26日(米国時間)、2023年第3四半期(7〜9月期)の決算概要を発表した。
それによると売上高は前年同期比8%減も前四半期比では約10%増の141億5000万ドル、純利益は前年同期比71%減の約3億ドル。PC向けCPUの販売が苦戦する中、全社的なコスト削減の成果が出て2四半期連続で黒字を確保した。
IntelのPat Gelsinger CEOは第3四半期について、「全体的なプロセスと製品ロードマップの進展、新たなファウンドリ顧客との合意、そしてAIをあらゆる場所に導入する戦略などの相乗効果が出た結果」であるとし、戦略を絶え間なく推進し、実行エンジンを再構築し、顧客への約束を果たすことで、IDM 2.0の変革に向けて有意義な進歩を続けるとしている。
また、同社David Zinsner CFOは同四半期の業績について、「3四半期連続で予想を上回ったほか、収益は事前ガイダンスの上限を上回った」と述べ、2023年第4四半期(10〜12月期)の売上高見通しを市場見通しを上回る146億〜156億ドルとした。
主力のPC向けやデータセンター向けは不振
部門別に見ると、主力のPC向けCPUを中心とする「クライアントコンピューティンググループ(CCG)」の売上高は前年同四半期比3%減の78億6000万ドルとなっている。世界のPC出荷台数は第3四半期まで7四半期連続で減少し続けており、その影響が大きい。もう1つの主力の「データセンターおよび人工知能(DCAI)」部門の売上高は同10%減の38億1000万ドルで、新製品の発売がなかったことなどが影響している。「ネットワークおよびエッジ」部門の売上高も同32%減の15億ドルと売り上げを現象されているが、子会社のMobileyeの売上高は同18%増の5億3000万ドル、Intel Foundry Service(IFS)の売上高は同299%増の3億1100万ドルと好調。特にファウンドリビジネスは複数の大口顧客を確保できたことが大きいという。Mobileyeは、自動車メーカーの中FAWおよびスウェーデンPolestarとの間に先進的なデザインインを獲得したことが奏功したという。
米国の製造・研究施設に1000億ドル以上の投資を計画
なおIntelは、米国の製造および研究に対して総額1000億ドル以上の投資を行う計画にしており、アリゾナ、ニューメキシコ、オハイオ、オレゴンにおける4か所の主要な製造拠点の新設・増設に関して米国商務省が進めるCHIPS法に伴う助成金申請の書類を提出したことを明らかにしている。
また、同社によるとIFSの大口顧客が前払いで「Intel 18A」と「Intel 3」プロセスに対する生産委託契約したことも明らかにしており、同社はアリゾナ州チャンドラーのキャンパスに2つの新しい先端半導体工場を建設する計画に弾みがついたと述べている。ただし大口顧客が誰かは明らかにされていない。
さらに、IFSとTower Semiconductorは、ニューメキシコ州にあるIntelの先進的な製造施設を利用して、Towerが世界中の顧客にサービスを提供できるよう、Intelがファウンドリサービスと300mmの製造能力を提供する契約も明らかにしている。もともとIntelはTowerを買収する計画を掲げていたが、中国の規制当局からの承認が得られずに契約を解消する事態となっていたが、協力関係自体は継続することにしていた模様である。