10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトにて開催される「Japan Mobility Show 2023」の開幕に先立ち10月25日にプレスデーが開催。ダイハツは創業以来持ち続けてきた「お客さまに寄り添い、暮らしを豊かにする」という思いをテーマに、顧客目線を追及した少し先の未来を感じられるさまざまなコンセプトカーを展示している。
個々人の好みにカスタマイズできるEV車「me:MO(ミーモ)」
同社が提案するme:MOは、車の完成品をそのまま買い手に売るという従来ある車メーカーと買い手の関係性を今一度考え、買い手自身が車にある機能やデザインを形作っていくことができる仕組みを構築した電気自動車(EV)。若者の車への興味低下も指摘されている昨今、スぺックの高さを重視するのではなく、今まで車に興味がなかった層や初めて車をもつ層などにまずは興味をもってもらったり、車というものを身近に感じてもらいたいとの思いから開発に至ったという。
最大の特徴は、モジュール化された構造によって内外装などを個々人の好みにカスタマイズすることができる点。クルマの作り方も楽しみ方もゼロから考えた新しいカタチとして、個々人のライフステージに合わせてスタイルや楽しみ方を変えることができるとしている。
カスタマイズできる部品は、京都を拠点として活動し、新しいクラフトマンシップを実現する設計者集団である新工芸舎とのコラボレーションにて、主には樹脂を原料にFDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタを使って作られている。同じ材料でもメカニックな感じ、布のような感じなど、感じ方や見せ方を変えることができるよう工夫していると開発者は語っていた。
シート部分にはビート板の素材やレコードを粉砕して作られるレコード塩ビが使用されていたりと素材も環境を意識したものとなっている。ちなみにレコードに着目したきっかけは、もともとの音楽好きにより巷でレコードが大量に安く売られているところから着想を得たとのこと。
従来、シート部分は層になって形成されているが、同社では「モノマテリアル」というなるべく1つの素材で要素を構成しシンプルな作りにすることで、分解した時に再利用しやすい状態を作りサステナブルで循環型なものづくりを意識しているとも語っていた。
今後の展望としては、機能性は基本的な部分にとどめて、カスタマイズできるパーツ部分をオープンソースとして開放することを想定しているという。最終的には自分で取り外し気分によって内外装を変えることができれば楽しいだろうとておりし、車は車メーカーではなくみんなで作るものという考えが浸透すればより新しい人と車の関係性が構築できるのではないかと語っていた。
自転車感覚で運転ができるお散歩体験が可能な「OSANPO(オサンポ)」
「OSANPO(オサンポ)」は、オープンエアで風やにおいなどを感じながら、散歩に出かけるような手軽さで身近な自然をスローに楽しむという贅沢で価値ある時間を体感してほしいとの思いから開発されたEV。
ゆるやかな曲線や樹脂パーツを活用するなど、かっこいい衣装を作ろうというよりは個々人のライフシーンに溶け込むようなシンプルなデザインが施されている。
また、従来のオープンカーは車高が低いものが多いが、乗り降りがしにくいとせっかくのお散歩感覚が途切れてしまうとし、少し高めに設定する工夫もあり、「自転車感覚で運転できるEVのイメージ」だとデザイン担当者は語る。
また、「運転が苦手だったり、ボタンが多すぎてよくわからないなどといった機能がわからず不安を抱いているお客様の声をよく耳にしていたので、構造をみせてあげることが必要ではないかと感じ、内装はシンプルかつわかりやすさを基本としている」とする。
例えば、カーエアコンをダッシュボードの真下あたりに縦置きし、スケルトンとすることで機械を逆にみせる工夫を行い、助手席の足元の空間を広く確保する設計がなされている。
またデジタルメーターにはスピード計とシフト位置といった運転に最低限必要な情報のみの表示としたほか、助手席前のダッシュボードにはアクリルカバー付きの小物入れを設置し、雨が降ってきた時用の折り畳み傘とサングラスを入れておける工夫が施されている。
さらに、ドアのインナーハンドルが部屋のドアノブのような作りとなっており、ドアを閉めるときは布ベルトを引っ張ると閉まるしまる仕組みで、生活になじみのある形状でわかりやすさを表現しているとした。
なお、販売予定などは未定だが、今回のショーに来る人々の反応をみながら進めていきたいと語っていた。