10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトにて開催される「Japan Mobility Show 2023」の開幕に先立ち10月25日にプレスデーが開催。本田技研工業(ホンダ)は環境に優しい電気自動車「SUSTAINA-C Concept(サステナ・シー コンセプト)」や、運転席がないタクシー「Cruise Origin(クルーズ・オリジン)」などを公開した。

サステナブルな次世代四輪電気自動車「SUSTAINA-C Concept」

ホンダブースにて注目が集まっていたのが四輪電気自動車のコンセプトモデル「SUSTAINA-C Concept(サステナ シー・コンセプト)」だ。

「Pocket Concept(ポケット ・コンセプト)」というミニマムなバイクと組み合わせる形で提案を行っており、例えばキャンプ場まではSUSTAINA-C Conceptで行き、キャンプ場についてからの買い出しなどはPocket Conceptで行うといった使い分けで、より自由な移動ができるとしている。

  • 「SUSTAINA-C Concept」と「Pocket Concept」の外観

    「SUSTAINA-C Concept」と「Pocket Concept」の外観

SUSTAINA-C Conceptの最大の特徴は、名前にも入っているサステナブルであるという点で、回収した使用済みアクリル樹脂を再利用してボディパネルが作られているという。環境問題が叫ばれている現代において資源の循環利用ができるのは注目のポイントだ。

アクリル樹脂はリサイクルが難しく、強い衝撃が加わると割れてしまうという欠点がある中で、同社は三菱ケミカルと共同開発を行い、水平リサイクル技術の確立と、耐衝撃性と成型性を両立したアクリル樹脂材料の開発に成功したという。

外装がアクリル樹脂である利点としては、塗装が必要なくなる分、塗装分のCO2排出も抑えられる点だとする。現状、自動車製造におけるCO2排出の約8割がこの塗装部分にあるとし、塗装せずに完成させることができればカーボンニュートラルの実現に貢献できるのではないかとの発想で開発に至ったと開発者は語っていた。

また、ボンネットやルーフ部分などには太陽電池が搭載されており、駐車時に太陽光で発電することでよりサステナブルな充電ができるとしている。

  • SUSTAINA-C Conceptのボンネットには太陽電池パネルが搭載されている

    SUSTAINA-C Conceptのボンネットには太陽電池パネル が搭載されている

アクリル樹脂であることの利点としては他にも、さまざまな色を作ることが容易である点が挙げられる。従来は赤や青などほとんどの人がみたことあるであろう決まり切った色合いしかだせなかったが、樹脂を混ぜることでまるでマーブルチョコレートのようなカラフルな色をだすことも可能だという。ラメなども混ぜることが可能で、今までみたことのない外観の車を作ることができるほか、透明や半透明にすることも可能で、デザインの可能性は無限大に広がるだろうと語っていた。

  • 塗装では表現が難しいカラフルな色をしているクォーターパネルの展示

    塗装では表現が難しいカラフルな色をしているクォーターパネルの展示

運転者がいない自動運転タクシー「Cruise Origin」

ホンダブースでは他にもさまざまなモビリティが展示されており、運転席がない自動運転タクシー「Cruise Origin(クルーズ オリジン)」にも注目が集まっていた。

  • 「Cruise Origin(クルーズ オリジン)」の外観

    「Cruise Origin(クルーズ オリジン)」の外観

同社は2018年よりゼネラルモーターズ(GM)やGMクルーズホールディングス(クルーズ)と共同で自動運転タクシーサービスの実現に向けた開発を進めてきており、Cruise Originは2020年に発表され、日本では2026年初頭より東京都心部で自動運転タクシーサービスとして開始する予定だとしている。

Cruise Originは最大6名乗車できる自動運転タクシーで、最大の特徴は、自動運転レベル4相当の自動運転技術を搭載していることと、運転席がないという点。運転席がない分、スペースに余裕ができ広々とした車内空間が実現されている。

  • ゆったりとした空間の座席スペース

    ゆったりとした空間の座席スペース

使用手順としては、搭乗したい場所をスマートフォン(スマホ)から選択すると、Cruise Originがそこまで来てくれるので、それに乗り込むだけ。スマホで目的地を指定すると、自動的にそこまで運んでくれ、決済もオンライン上で完結する仕組みを考えているとしている。

ターゲットとしては、家族連れを中心とするファミリー層から観光客などあらゆる客層を想定しているとし、タクシー不足が問題となっている現代にふさわしいモビリティとなっているほか、従来のタクシーとは異なり、向き合って座れるためコミュニケーションも取りやすくより快適な時間を生み出せるだろうと開発者は語っていた。