10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトでは、「Japan Mobility Show 2023」が開催される。かつての「東京モーターショー」からリニューアルし、モビリティをテーマに“みんなで一緒に未来を考える場”として開かれる同イベントに先立ち、小糸製作所はプレスブリーフィングを実施し、「光とセンシングで、もっと“うれしい”モビリティ社会へ」と銘打ったブース展示について紹介した。
光源を1万6000分割した「高精細ADB」を初公開
小糸製作所はJapan Mobility Showにて、「ドライバーサポート」「センシングサポート」「コミュニケーションサポート」の3つの軸に沿った技術を紹介している。
そのうちドライバーサポートに関する技術としては、夜間の運転中でも最適な視界を提供するためのライティング技術として、2025年に市場投入を予定している「高精細ADB(Adaptive Driving Beam)」を初めて公開する。
同技術は、自動車の夜間走行において視界確保のために必要なハイビームの照射範囲を、細かく分割して制御するもの。従来は12分割での制御だったのに対し、今回の新技術では1万6000個ものLEDに分割され、それぞれ点消灯や出力硬度の制御を行うことで、消灯範囲を最小化することができるとする。
本来の夜間走行では、常にハイビームによる照射を行うことが望ましいが、対向車や歩行者に対して強すぎる光が当たるなどの懸念から、ロービームが選択されることが多いのが現状だ。しかし今回の技術を用いることで、対向車の運転席への照射は消灯し、歩行者には弱めの光を照射するなど、必要に応じた光の活用が可能になるとしている。
またこのようなハイビームの配光制御技術に強みを持つ同社は、画像センサによる物体認識技術に強みを持つデンソーとの間で、夜間走行時の安全性向上に向けた協業を開始している。小糸製作所の技術本部長を務める勝田隆之専務執行役員は、「高精細な光技術によって暗い範囲を最小化することで、歩行者の早期発見などを実現し、交通事故ゼロという目標の達成に貢献していきたい」と語った。
光技術でさまざまな“うれしい”を届ける小糸製作所
小糸製作所ブースではほかにも、LiDARによって移動体の点群データを取得することで、商業施設や駐車場といった場所の人流や混雑状況を把握する「ILLUMIERE」を初公開。同システムは実際にブース内にも設置されており、画像を取得しないためプライバシーに配慮した位置情報モニタリングを実現できるとする。
「安全を光に託して」という企業メッセージのもと、光技術を中心にモビリティ社会における安全確保への貢献を目指す同社の今後について、代表取締役社長兼COOの加藤充明氏は「これからもさまざまな“うれしい”を届けることで、安全・安心・快適な未来を実現していく」と話した。