日本電信電話(以下、NTT)は10月26日、6GやIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)技術を実現する時代に向けたコアネットワーク「インクルーシブコア」アーキテクチャについて基本技術仕様を確立し、メタバースをユースケースとした実証実験を実施してその有効性を確認したことを発表した。合わせて、技術仕様に関するホワイトペーパーも公開している。
インクルーシブコアは、「サイバー空間」と「物理空間」、「コンピューティング」と「ネットワーク」、「アナログ」と「デジタル」、「移動通信」と「固定通信」など、通信サービスそのものや環境変化として4つの多面的な融合と協調を実現する技術の共通基盤を目指しているという。
具体的には、「ネットワーク融合サービス高速処理基盤(以下、ISAP)」「耐障害性の高いネットワーク技術(ロバストネットワーク)」「アプリケーション要件に適応した通信方式の選択機能(適応トランスポート)」「モノ、AI などの多様な対象の認証機能と端末、ネットワーク、サービス間のID連携機能(認証・ID 連携機能)」「ユーザ主権によるアイデンティティ管理と情報流通基盤(SSI基盤) 」などの要素技術で構成される。
今後の普及が期待される技術コンセプトである「In-Network Computing」や「自己主権型アイデンティティ」などをコアネットワークに取り込もことにより、ネットワークを介して利用するサービスについて、端末の処理負荷を低減しながらプライバシーを保護して提供できるようになる。
メタバース空間を用いた実証実験では、ドコモが開発したMetaMeから移動できる空間(MetaMeコミュニティワールド)として接続した、SSIに基づくメタバースへの移動に合わせて、AWS(Amazon Web Services)上に展開された5Gコアネットワークの端末接続状態をISAPが連携し、ネットワーク内のハードウェアアクセラレータに動的にメタバース空間描画機能を起動して、高速な3D空間描画ができると確認している。
また、ISAP上に展開された個人のプライバシー情報を管理するセキュアIDウォレットにより、プライバシーに配慮した個人の属性情報の提示を実現し、メタバース空間上で個人を特定するような個人情報の収集を防ぎつつ、個人の属性情報に基づいてパーソナライズされたサービスを提供できることを確認したとのことだ。