IDC Japanは10月25日、生成AIの取り組みに関する国内と世界の企業ユーザー動向調査の比較分析結果を発表した。
このレポートは、日本、その他アジア、北米、欧州において、マネージャー以上かつ従業員500人以上の企業に勤務するIT投資購入意思決定者を対象に実施した、生成AIの取り組みに関する調査結果に基づくもの。
国内の生成AIへの期待度は世界よりも高く、本年3月と7月の調査結果の比較において、生成 AIの適用分野への可能性の検討、本年の投資傾向の両方の割合が上伸。あらためてChatGPTをきっかけとして国内の企業がAIの活用を再検討し、デジタルビジネスの計画と実行を加速していることがうかがえる。
企業が想定する生成AIのユースケースの調査では、生産性の向上に貢献する社内向けのユースケース(コード生成、会話型アプリケーション、デザインアプリケーションなど)に期待が高く、マーケティングアプリケーションが低い点は国内と世界で同じ傾向だが、世界ではユースケース全般で期待を持っている点が特徴的だという。
また、生成AIが影響を与える事業領域については、ソフトウェア開発/デザイン部門が高いと考える点は国内と世界で同じ傾向だが、世界ではサプライチェーンやカスタマーサービス部門への影響を想定する割合が国内よりも高い。このことから、世界では社内外のユースケースや事業領域に対して幅広に生成AIの利用を検討していると推測される。
こうしたユースケースの傾向は、2015年以降の第3次AIブームと呼ばれる時期において、国内の企業が機械学習の利用を開始した際の傾向と類似する点があるという。世界が多様な目的で生成AIの利用を検討している傾向を考えると、国内企業は生成AIの潜在的な可能性と活用用途をさらに探る必要があるとIDCは指摘する。
IDC Japan Software & Services リサーチマネージャーの飯坂暢子氏は、次のように述べている。「技術革新による生成AI製品の連続的な市場投入によって、AI技術の最新技術、人的リソース、AIのリスクに関心が向きがちであるが、生成AIへの投資の意思決定に関わるキーパーソンは持続可能なAIモデルの開発や運用への意識を高め、生成AIを生かした具体的なデジタルビジネスのモデル構築支援を求めている」