生成AIの利用拡大などに伴い、データセンターの電力消費の増大が大きな課題となっている。その実態について、電子情報技術産業協会(JEITA)が、CEATEC 2023で行われたオンラインセッション「ITトレンド調査~クラウド/AI利用動向とデータセンター冷却技術動向」のなかで明らかにした。

また、富士キメラ総研が「データセンターの高効率冷却技術最新動向」について説明し、「データセンターの空調は岐路に立っている」との指摘した。サーバの電力消費の課題や、データセンターにおける新たな冷却方法への取り組みはどうなっているのだろうか。

消費電力量の削減が求められるサーバ

JEITAのサーバ消費電力量動向調査は、サーバ出荷統計に参加するメーカーの出荷実績データをもとに、国内総量を推計しているもので、2001年度から実施している。

これによると、2022年度の国内におけるサーバ消費電力量は、前年度から5億kWh増加の98億kWhとなった。また、2023年度には初めて100億kWhを突破し、103億kWhに達すると予測。2025年度には105億kWhになると推定されている。

JEITA プラットフォームグリーンIT専門委員会委員長の佐藤宏氏は「サーバの稼働台数は2010年度をピークに減少傾向にある。その一方で、2006年度から2013年度にかけては省エネ化が進み、1台あたりの電力量は減少し続けたものの、2014年度以降はCPUのコア数増加とマルチプロセッサ化が進展し、一転して増加傾向に転じている」という。

  • JEITA プラットフォームグリーンIT専門委員会委員長の佐藤宏氏(富士通)

    JEITA プラットフォームグリーンIT専門委員会委員長の佐藤宏氏(富士通)

2013年度にはサーバ1台あたりの電力量は2208KWhであったが、2022年度には4731KWhとなり、約10年間で2倍以上に増えているのが実態だ。さらに、今後も電力量は増加すると予測しており、2023年度には5110KWh、2025年度には5354KWhになると見ている。

  • サーバ消費電力量の推移

    サーバ消費電力量の推移

その一方で、仮想化による省エネ効果が大きいことを指摘。2022年度実績で、74%もの電力削減効果が生まれていると試算した。「2021年度には69%の削減効果だったが、そこから5%も削減効果が高まっている。今後もその傾向が進むと考えられる」とコメント。2025年度には仮想化によって、83%の削減効果を見込んでいる。

これらの動きを捉えながら、佐藤委員長は「CPUのコア数増加とマルチプロセッサ化が進み、1台あたりの物理サーバ消費電力量は、今後も増加していく傾向にある。さらに、ITプラットフォームの新たな需要拡大でサーバ全体の年間消費電力量は、今後も増加すると想定される」とする一方、「消費電力量の削減には、高効率な冷却技術を採用し、冷却電力を削減するなど、ラックあたりの省エネ効果を増やす取り組みが必要である」と提言した。

この記事は
Members+会員の方のみ御覧いただけます

ログイン/無料会員登録

会員サービスの詳細はこちら