Intelは10月23日(米国時間)、米国オレゴン州ヒルズボロにあるIntelゴードン・ムーア・パークの最先端半導体技術開発・試作施設であるD1Xファブに、世界初となる高NA EUV装置を2023年末までに導入すると発表した。
同社のPat Gelsinger CEOが9月に発表した「5年間で米国に1000億ドル以上を投資する」計画の一環としてD1Xにおける2nm超プロセスの開発に向けた一連の設備アップグレードのための投資を行うとしている。
この投資には、米国オレゴン州、同州ワシントン郡、ヒルズボロ市からの支援と、米国商務省が推進する「CHIPS法」からの支援を見込んでいるという。Intelは、「4年間に5つの技術ノード」を実現し、2025年までにプロセス技術のリーダーシップを取り戻し、同社のIDM 2.0戦略を実現するという方針を掲げているが、高NA EUV露光装置の世界に先駆けた導入はその一環だという。最近同社はアイルランドにて最新量産プロセスとなる「Intel 4」による大量生産を開始したが、4年間で5つの技術ノードの実現に向けて、微細化を急ピッチに進めている状況にある。
Intel EVP兼技術開発グループ本部長のAnn Kelleher氏は、「Intelは、ほぼ50年にわたりオレゴン州でイノベーションの推進と技術の進歩に専念してきており、オレゴン州と米国のCHIPS法の支援を受けて、半導体の研究開発と製造における米国のリーダーシップを取り戻す先頭に立って取り組んでいく。今回の開発・試作ラインへの投資により、その取り組みはさらに強固なものとなる」と述べている。
導入されるのはASMLの高NA EUV露光装置プロトタイプか?
EUV露光装置を提供するASMLのロードマップによれば、高NA(NA=0.55) EUV露光装置のプロトタイプが2023年末の発売、量産機が2025~26年に発売予定となっていることから、今年末にIntelが導入を計画しているのは、おそらくこのプロトタイプ「NXE:5000モデル」であるものと思われる。Intelは2018年に他社に先駆けてこのNXE:5000の注文をASMLに出しており、量産機についても2022年1月に他社に先駆けて注文したことを公表している。
なお、半導体業界に詳しい関係者によると、ベルギーimecとIntelがプロトタイプ初号機の導入を巡って競い合った模様だという。現在ASMLは、imecと共同でオランダのASML本社隣接地にHigh-NA EUV Labを設置し、東京エレクトロン(TEL)やJSRなど、日本を含めた複数の装置・材料パートナーとともに2nm超のパターニングプロセスの開発を行っており、同プロジェクトにはIntelも参加。同Lab内に設置されている実験機にアクセスできる状況にあるという。