京都大学医学部附属病院(以下、京大病院)と新医療リアルワールドデータ研究機構(以下、PRiME-R)は10月24日、医療機関と製薬企業による新たな研究基盤である「J-CONNECT」を2023年4月に創設したことを明らかにした。ここでは、各医療機関で収集されたがん治療における高品質なRWD(リアルワールドデータ)を活用して、医療の質の向上と学術研究を加速するという。

今回のプロジェクトで収集するRWDは、これまで構造化して収集することが困難であった医薬品使用における有効性や安全性に関する情報を含んでおり、その評価を通じて新たなRWE(リアルワールドエビデンス)の創出にも貢献するとしている。

また、プロジェクト運営体制として医療機関のみならず新たに製薬企業などの参加を募る。これにより、医療情報や統計データを共有し、学術研究や医薬品開発などを促すようだ。さらには必要に応じて個別の研究を計画し、詳細なデータに基づく分析・研究・開発も可能とのことだ。

J-CONNECTはがん薬物治療におけるRWDを可視化するため、各医療機関や実臨床での治療状況を把握できるようになる。がん治療薬などの実際の使用状況を把握できるだけでなく、新薬の実臨床での安全性・有効性の評価を容易に行えるようになると期待できるという。

  • J-CONNECTの基盤イメージ

    J-CONNECTの基盤イメージ

京大病院らは従前からの取り組みである前向きRWD収集(CONNECT-1)に加えて、「がん診療におけるRWDの網羅的収集及び利活用に関する多施設共同研究(CONNECT試験附随研究)」(以下、CONNECT-2)を開始する。後向きRWDの収集を開始し、より悉皆性の高いRWDの収集を目指す。

CONNECT-2の概要では各施設が保有する院内がん登録データを自動取込ツールにより効率的にCyber Oncologyに移転するとともに、レセプトデータや電子カルテ由来の臨床検査値などを統合し、高品質かつ悉皆性の高いがん薬物治療に関する大規模RWDレジストリを構築する。

  • CONNECT-2の概要図

    CONNECT-2の概要図