UiPathは10月23日、自動化プラットフォーム「UiPath Business Automation Platform」で提供する生成AI製品ブランド「UiPath Autopilot」を発表した。
米UiPath 共同創立者 兼 共同最高経営責任者(Co-Founder & Co-CEO)Daniel Dines氏は、同社が推し進める自動化とAIについて、次のように語った。
「高齢化が進む日本で、自動化は生産性を挙げる唯一の手段となるだろう。そして、生成AIと自動化は夢のような組み合わせだ。生成AIによるアシスタントを作って、素早く自動化が可能になる。われわれは、ドキュメントAIに大きな投資をしており、生成AIでドキュメントを把握することを実現する。人間がルーチンワークを一切しなくなるのは時間の問題。人は人らしい仕事をすることが期待されるようになるだろう」
開発者、テスター、アナリスト、ビジネスユーザーに生成AI機能を提供
続いて、UiPath 代表取締役CEO 長谷川康一氏が、「UiPath Autopilot」をはじめとするAIに関する最新情報を紹介した。同社は、「AI at Work」という戦略を掲げているが、この戦略には「AIによって神が現場に宿り、価値が創出される」という狙いが込められている。
「AIとオートメーションと結びつくことで、オフィスの中で自動化が実現される。既存の環境でAIが動くことで、企業の生産性が飛躍的に向上する 」(長谷川氏)
「UiPath Autopilot」ブランドでは、開発者、テスター、アナリスト、ビジネスユーザーに向けて、生成AI機能を搭載したさまざまな製品を提供する。現在、Private Previewが提供されているのは「Autopilot for UiPath Studio」だ。これは開発者向けの製品で、自然言語を使ってオートメーション、コード、式を作成できるほか、テキストからワークフローや式を自動生成する。
続いて、長谷川氏は「UiPath Communications Mining」が11月15日に日本語対応を開始することを紹介した。同製品は、 自然言語処理の技術を使ってメールなどの文章を解析し、業務を分析・自動化する。
また、文書処理の自動化を行う「Intelligent Document Processing」では、生成AIを活用した機能強化が行われる。11月15日に、文書の分類を行う「Generative Classification」とデータ抽出を行う「Generative Extraction」が日本語に対応する予定だ。「Active Learning」も日本語対応が計画されている。
さらに、責任をもってAIを活用・管理するための製品として、「UiPath AI Trust Layer」の提供も予定されている。同製品は、UiPathの生成AI機能を用いたユーザーインタラクション、大規模言語モデル、データのガバナンスのための管理フレームワーク。UiPath Platformにおける生成AIの利用を責任もって管理するために必要な信頼性、可視性、ガバナンスを提供する。
生成AIを連携するコネクタに関しては、Google Vertex AIコネクタが正式版としてリリースされたほか、Amazon SageMakerにおいてLlama2モデル、カスタムAWSモデルと利用可能なモデルが追加された。Amazon Bedrock, Anthropicへの接続コネクタもプレビューとして公開された。
煩雑なメールにまつわる業務を自動化した三井住友信託銀行
続いて、「UiPath Communications Mining」の先行ユーザーとして、三井住友信託銀行 経営企画部デジタル企画部長 兼 Trust Base 取締役COO平方壽人氏が同社の利用状況を紹介した。
今回、同行は「プライベートアセットビジネス」において、「UiPath Communications Mining」を導入した。プライベートアセットビジネスは個別のアセットに特化した運用のため標準化が難しく、世界中から1日約1000件のメールによる情報連携が行われている。
平方氏によると、受け取るメールはファイルが添付されていたり、リンクが含まれていたり、直接指示が書かれていたりと、いろいろなパターンがあるという。
そこで、「UiPath Communications Mining」を導入することで、手間がかかるメールの処理の自動化が試みられた。具体的には、メールの仕分けや処理を自動化したが、97%の精度で判別できたという。
「UiPath Communications Mining」を導入した結果、プロセスの最後の確認作業だけを人が行えばよくなり、作業人数を4名から2名に半減できた。平方氏は、最も大きかった効果として、メールを裁く業務からハイスペックの人材を解放できたことを挙げた。
現在、次のチャレンジとして、生成AIとRPAを使って、投資家にレポーティングすることに取り組んでいるそうだ。今回は、英語版で試したため、リリース予定の日本語版を活用することで、日本語を基にした業務の生産性向上に手が打てると平方氏は語っていた。