藤森工業、TOPPANホールディングス、島津製作所の3者は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「バイオものづくり革命推進事業」に対して「細胞性和牛肉の社会実装に係る研究開発」を共同提案し、実施予定先として採択されたことを発表した。
バイオものづくり分野は、最先端のバイオ技術などにより、微生物などが従来保有する物質の生産能力を増加させたり、新しい目的物質の生産能力を獲得させたり、酵素分解などにより目的物質を得ることなどを可能とするテクノロジー領域で、近年、医薬品や食品、化学品、素材、繊維、燃料などさまざまな産業での活用が見込まれるようになっている。そうした背景を踏まえて、3社は今回、NEDOの公募に対し各々が持っている知見や技術を活かした「細胞性和牛肉の社会実装に係る研究開発」を提案したとする。
具体的には、培養肉である細胞性和牛肉の社会実装に向けた研究開発を推進するもので、培養肉の原料となる細胞を安定に供給するための大量培養技術や、喫食可能な細胞培養用の培地、喫食可能な細胞以外のバイオマテリアル、培養肉を社会実装するための評価手法の開発など、幅広い研究を行うとしている。
また、大阪大学、東京大学東京女子医科大学、東京農業大学、細胞農業研究機構(JACA)などとも協力して研究開発に取り組み予定で、提案した3社は2025年を目標に培養肉を提供するための技術開発に取り組む計画。その後、2027年度末には2000ℓスケールの大量培養技術を確立、喫食可能な細胞培養用培地のコストダウンを図るほか、2029年には培養肉製造を事業化し、2031年の事業収益化を目指すとする。
なお、2023年度から2027年度の期間においては、藤森工業が培養肉の原料となる細胞を安全に安定供給する大量培養技術の開発を、島津製作所が細胞培養用の培地の可食化やコストダウンを、TOPPANホールディングスが細胞以外のバイオマテリアルの可食化と加工プロセスの開発をそれぞれ担当するほか、藤森工業が中心となり、社会実装に向けた評価手法や仕組みの開発も並行して進めていく形で研究開発を行っていくとしている。