TrendForceによると、2023年第3四半期におけるNANDの大口契約価格は、前四半期比で5~10%ほどの下落となったが、第4四半期については同8~13%ほどの上昇が予想されるという。
背景には、NANDサプライヤ各社が進めてきた減産の効果がでてきたことが挙げられるが、2024年について、この価格上昇が続くかどうかは懐疑的との見方も示しており、価格の上昇傾向を維持するためには継続的な減産とサーバ市場におけるエンタープライズSSDの需要回復が必要であること、そうした堅実な需要を掴めなければ、価格の上昇圧力は弱含む可能性があるとも指摘している。 製品別に見ると、クライアントSSDはサプライヤやモジュールメーカーが積極的に価格引き上げを進めており、比較的安価の時に在庫を確保したいPC OEMが先んじて在庫確保に動く気配を見せているため、実際の需要を上回る調達が進んでいる模様である。サプライヤ各社も第3四半期よりビット出荷数量の拡大を目指しており、クライアントSSDの価格下落余地はそれほど大きくないほか、主流プロセス/層数の生産量が減少し、ハイエンド製品の供給が減少したことで、サプライヤ側に価格交渉力が移っており、第4四半期のクライアントSSDの契約価格は前四半期比8~13%の上昇が予想されている。
エンタープライズSSDについては、北米のクラウドソリューションプロバイダ(CSP)が依然として大量の在庫を抱えているものの、一部のサーバメーカーからの需要が徐々に回復してきているという。また、中国のCSPの在庫も妥当な水準まで下がってきたほか、準大手電子商取引ベンダが繁忙期を迎えたこともあり、全体として第4四半期の契約価格は前四半期比約5~10%ほどの上昇が予想されるという。
eMMCについては、主にテレビと一部のスマートフォン(スマホ)の需要に依存しており、実際の購入の勢いはそれほど活発ではないという。一方でサプライヤ各社はウェハから完成品に至るまで積極的な価格引き上げの姿勢を示しており、モジュールメーカーもそれに合わせて見積もりを値上げしている模様で、第4四半期の契約価格は同約10~15%ほどの上昇が予想されている。
UFSについては、スマホOEM各社が在庫の積み増しを加速させているほか、UFS 4.0製品の供給が限定していること、製品が高度な製造プロセスに依存していることなどもあり、価格は上昇傾向にあり、第4四半期の契約価格はUFS全体で同10~15%ほどの上昇が予想されるという。
ウェハについては、Samsung Electronicsの50%という生産量削減に加え、ほかのサプライヤも追随し保守的なアプローチを採用している。この動きは、特定のプロセスおよび生産能力に関しては6か月以上継続しており、市場全体での供給逼迫を起こすレベルまで到達。サプライヤが価格設定で有利な立場に立つようになったが、バイヤーサイドは在庫水準を維持するために調達努力を続けていることから、第4四半期のウェハ契約価格は同約13~18%ほどの上昇が予想されるとしている。