TSMCが10月19日に2023年第3四半期(7-9月)の決算を発表した。
それによると同四半期の売上高は前年同期比10.8%減、前四半期比13.7%増の5467億3000万NTドル、純利益は前年同期比24.9%減、前四半期比16.1%増の2110億NTドルとなったという(ドルベースで見ると売上高は前年同期比14.6%減、前四半期比10.2%増の172億8000万ドル)。また、同四半期の粗利益率は54.3%となり、営業利益率は41.7%、純利益率は38.6%としている。
同四半期は、同社の最先端プロセスとなる3nmが立ち上がり、売り上げ全体の6%を占めるまで成長したという。Appleが発売したiPhone 15シリーズの上位モデルであるiPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Max用SoC「A17 Pro」が第1世代3nmプロセス「N3B」を採用。今後、MediaTekなど他社がTSMCの3nmプロセスを採用した製品を展開する予定となっており、同プロセスの売り上げ増が期待される。
また、TSMCが現在、主力として据えている5nmプロセスの割合は前四半期の30%から37%に増加したものの、7nmプロセスの割合は23%から16%に減少している。ただし、3nmプロセスの立ち上がりもあり、7nm以下の先端プロセスが全売上高に占める割合は59%となっている。TSMCの副社長兼最高財務責任者のウェンデル・ファン氏は、「第3四半期は、業界をリードする3nmプロセスに対する力強い伸びと、5nmに対する需要の高まりによって支えられたが、顧客の継続的な在庫調整によって部分的に相殺された」と同四半期を振り返っている。また、「2023年第4四半期に向けて、顧客の継続的な在庫調整によって部分的に相殺されるものの、3nmの継続的な力強い伸びによって事業が支えられると予想している」ともしている。
売り上げをプラットフォーム(最終製品分野)別に見ると、HPC向けが42%(前四半期44%)、スマートフォン(スマホ)向けが39%(同33%)と、この2つの分野だけで全体の8割を担っている。また、Apple iPhone向けの売り上げが伸びたこともあり、スマホ向け売り上げは前四半期比で33%増と大きく伸ばしている。
このほか、国・地域別での売上高比率には大きな変化はなく、米国が69%(前四半期66%)、中国が12%(同12%)と米中だけで8割を占めている。このほか、アジア太平洋が8%(同8%)、EMEAが5%(同7%)、日本が6%(同7%)と日本が若干比率を下げている。同社は中国南京にてFab 16を稼働させているが、主力は車載向け28nmプロセスと、先端というほどでもないこともあり、米国政府の中国に対する輸出規制の影響はあまり受けていない模様である。
なおTSMCは、2023年第4四半期の売上高予測として188億~196億ドル(為替レートは1ドルが32NTドルと想定)、前四半期比の成長率だと9.3%~14.0%(中央値11.7%)としており、売上総利益率が51.5%~53.5%、営業利益率が39.5%~41.5%としている。