ピュア・ストレージ・ジャパン(以下、ピュア・ストレージ)は10月19日、as a Serviceモデルで展開するオールフラッシュ・ストレージ「Evergreenシリーズ」のポートフォリオを拡充すると発表し、オンラインで記者説明会を開催した。

「Evergreen//One」はストレージをピュア・ストレージが保有し、使用した容量に応じて従量課金モデルで料金を支払うもの。ストレージリソースは、ユーザーのオンプレミスのデータセンターやコロケーション施設、パブリッククラウドにもデプロイできる。

また、Evergreen//Flexは従来型のストレージ購入とas a Serviceを組み合わせた所有モデルだ。ストレージそのものはユーザーが資産として所有するが、サブスクリプション契約に対応するためストレージの使用量に応じた料金を支払う。

今回の発表は、これら両サービスのSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)を拡充するものだ。ハードウェアをas a Serviceモデルで提供するだけではなく、さらなる付加価値の提供を狙うアップデートとなる。

  • 新たに拡充したSLA

    新たに拡充したSLA

まず、同社は両サービスのサブスクリプションを通じて、ユーザーの電力とラックコストを負担する。場所や契約規模に応じて払い戻し、またはディスカウントを含めたサービス・クレジットを発行しユーザーに還元する仕組みだ。なお、料金レートは国ごとに固定料金レートを設定する。

  • 電力コストとラックコストをピュア・ストレージが負担するという

    電力コストとラックコストをピュア・ストレージが負担するという

加えて、データの損失をゼロにし永続性を担保するというSLAも追加する。ランサムウェア対策だけでなく、バックアップのデータも対象となる。これにより、ハードウェアまたはソフトウェアに関するインシデントに対して、データリカバリを無償で提供する。

また、従来からEvergreenシリーズではハードウェアの入れ替えなどに伴うデータの移行が不要となっていたが、今回のアップデートに伴って「データ移行不要」とSLAに明記されることとなった。これにより、ユーザーの所有コストと電子廃棄物の削減に寄与する。

同社はさらに、新たなディザスタリカバリソリューションとして、Pure Protect//DRaaS(Disaster Recovery as a Service)も発表した。これにより、オンプレミスのvSphereのデータのコピーを、ネイティブなAWS(Amazon Web Services)EC2環境にリカバリするための環境を利用できるようになった。VMware環境からEC2へ、またはEC2からVMware環境へのデータの変換はVMwareが提供するAPI(Application Programming Interface)を利用して、ピュア・ストレージがサービスとして提供する。

  • Pure Protect//DRaaSのサービス概要

    Pure Protect//DRaaSのサービス概要

同社は今回のアップデートに伴って、AIを活用して運用担当者の負担を軽減するためのソリューションもいくつか発表している。具体的には、クラウドベース管理ツール「Pure1」によってアレイの管理やバージョン管理、サポート切れの管理などをAIで支援するというものだ。

これにより、Evergreenの契約内容や各アレイを確認するために必要な情報を集約し、容量、エネルギー、ラックスペースの使用状況を可視化できるようになった。さらにユーザーはソフトウェアの更新や移行、拡張、契約更新など、各アセットやサブスクリプション変更の履歴もPure1から閲覧できる。

  • Pure1の画面例

    Pure1の画面例、アレイの入れ替えの履歴などを確認できる

加えて、アレイの使用率など今後の見通しをAIが通知することで、担当者が都度確認しなくても常に適切な安定運用が可能になるという。ピュア・ストレージのプリンシパル・テクノロジスト 岩本知博氏は「人間のSEのサイジングよりもAIのサイジングの方が最適で、しかも人的工数がかからない状態を作れる」と語り、自信を見せていた。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジスト 岩本知博氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジスト 岩本知博氏

  • アップデート内容まとめ

    アップデート内容まとめ