NVIDIAとHon Hai Technology Group(Foxconn)が提携し、AI搭載のEV(電気自動車)開発などに向けて「AIファクトリー」を構築する。これにより、AI搭載のEV開発などを加速し、両社のトップが10月17日、台湾で開催された「Hon Hai Tech Day」で発表した。

  • 左からNVIDIA 創業者兼CEOのJensen Huang氏、Foxconnの会長兼CEOのYoung Liu氏

    左からNVIDIA 創業者兼CEOのJensen Huang氏、Foxconnの会長兼CEOのYoung Liu氏

提携のもと、Foxconnは「GH200 Grace Hopper Superchip」「NVIDIA AI Enterprise」などのNVIDIAの技術を統合してデータセンターを構築する。

特徴としては、「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」を搭載した「NVIDIA HGX」リファレンスデザイン、「GH200 Superchips」「NVIDIA OVX」リファレンスデザイン、そしてNVIDIAのネットワーキング技術などを用いる点だ。

これらの技術を土台としたインフラを利用して大量のデータを処理し、改良されたAIモデルの構築や情報を導き出すことができるという。

想定されるユースケースとしては、AIを搭載したEVやロボティクスのプラットフォーム、言語ベースの生成AIサービス、製造のデジタル化、検査ワークフローの自動化などを挙げている。

具体的には、最新のNVIDIA GH200 Grace Hopper SuperchipとNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアを含むNVIDIAのアクセラレーテッド・コンピューティング・プラットフォームにもとづき、膨大な量のデータを処理・精製し、価値あるAIモデルやトークンに変換するために構築されたNVIDIA GPUコンピューティング・インフラストラクチャであるAIファクトリーの整備からスタートする。

Foxconn Smart EVは、将来の自動車用システムオンチップである「NVIDIA DRIVE Thor」を搭載し、自律型自動車フリート向けの次世代プラットフォームである「NVIDIA DRIVE Hyperion 9」上に構築。

Foxconn Smart Manufacturingのロボットシステムは自律移動ロボットプラットフォーム「NVIDIA Isaac」上に構築し、Foxconn Smart Cityにはインテリジェントビデオ分析プラットフォーム「NVIDIA Metropolis」が組み込まれる予定だ。

Foxconnは、NVIDIAと緊密に協力しつつ、NVIDIA AI Enterpriseソフトウェアで最適化された独自のAIファクトリーの構築と運用を検討しているグローバルの顧客層向けに、NVIDIAのCPU、GPU、およびネットワーキングをベースにしたシステムの構築を予定している。

また、NVIDIAの3Dグラフィック作成・運用プラットフォーム「NVIDIA Omniverse」などを採用し、電子機器産業の厳格な品質管理を徹底するという。

イベントではNVIDIA 創業者兼CEOのJensen Huang氏、Foxconnの会長兼CEOのYoung Liu氏が対談し、Huang氏は「インテリジェンスの生産という新しいタイプの製造が生まれつつある。Foxconnは世界最大の製造業者であり、AIファクトリーをグローバルに構築する経験とスケールを持つ」とコメントしている。

なお、米政府は同日、AIチップの中国への輸出規制が厳格化される方針を出しており、NVIDIAはその影響を受けることが予想されている。