デルタ電子は10月17日、10月17日~20日にかけて千葉県の幕張メッセにて開催されている「CEATEC 2023」の同社ブースにて自社の事業戦略に関する説明会を開催し、同社が掲げる新たなブランド戦略ならびに日本市場に関する事業戦略などを披露した。
1971年に台湾で創業した同社。日本でもPC電源などで同社の製品を使ったことがある人も多いだろう。そんな同社の創業年の売上高は4万ドルであった。これが2019年には90億600万ドル、2020年に96億2500万ドル、2021年には112億7500万ドル、そして2022年には128億9000万ドルまで伸ばしてきた。その間、同社は事業体も電源ユニットのようなコンポーネントからプロダクトそのものへ、プロダクトからシステムへ、そしてシステムからソリューションへといった具合に変化させてきた。
その事業の中心は常に産業分野であったが、Delta Electronics、Chief Brand Officer(CBO)のShan-Shan Guo氏は、「2022年にこれまでのインダストリアルブランドから、より個々人に近いコンシューマブランドになりたいという想いから方向性の変更を志向するようになった」とし、これまでのインダストリアルブランドとしての知名度を残しつつ、コンシューマへのアプローチに向け、「顧客のそばに寄り添うこと」、「人々のことをよりよく理解すること」、「人々のために貢献すること」の3つを前提に企業文化の変化を目指し始めたとする。
これは同社の次の50年を見据えた変革だと同氏はその取り組みの意義を強調する。ただし、同社が創業時に掲げたミッション「To provide innovative, clean and energy-efficient solutions for a better tomorrow」に変化はない。「よりイノベーションを強く出して、より良い暮らしの実現に貢献していくことを目的にカンパニーイメージの変更を目指している」(同)とする。
その象徴的なのがコーポレートカラーが従来の青一色(Delta Blue)から、そのDelta Blueを残しつつ、淡い青(Delta Aqua Blue)と淡い緑(Delta Grass Green)を追加したものに変更されたこと。Delta Blueとして従来からの高いエネルギー効率を実現するコアを中心に、そこにIoTによって知性を加味するDelta Aqua Blue、そしてそういう技術を活用して地球環境を守っていく姿勢を見せるDelta Grass Greenという位置づけとなっており、同社のブースの天井付近もこの色合いを模した造りが取り入れられている。
そうした同社が現在掲げるブランドバリューは「インテリジェント」「サステナブル」「コネクティング」の3つ。同社は、モビリティ、自動化、インフラの3つの市場を現在の注力市場と据えるが、そうした市場に対し、新たなブランドに基づき今回のCEATEC 2023では「Realizing an Intelligent, Sustainable, and Connecting World」という価値提案を込める形で出展を決定したとする。
4つの市場に注力し、売上高が倍増を目指す日本地域
また日本市場に関しては、2023年5月にデルタ電子の代表取締役に就任した華健豪氏が登壇。「社会がよりレジリエンスになっていくためにはGX、DX、そしてSX(Sustainable Transformation)の3つのXが真価をもたらさなければいけない」とし、そのために同社では「再生可能エネルギー」「オートモーティブ」「データセンター」「オートメーション」の4つの市場に注力し、ソリューションとしての提案を行っているとする。
例えば太陽光発電システムについては、系統調整用蓄電池システムやハイブリッド型パワーコンディショナーなどを組み合わせた提案はもちろんだが、オンサイトPPA事業も今後拡大を図っていきたいとする。すでに広島県の自動車電装品メーカーの敷地内に同社が所有する太陽光発電システムを敷設し、長期売電契約を締結しているが、「中小企業の多くがCO2排出削減などの取り組みを取引先から求められる中、その対応に苦慮しているという話も聞こえている。デルタ電子としてはコンサルティングや売電スキームなどを含めたソリューションとしての取り組みを推し進めており、こうした取り組みが地方の中小企業の環境対応などに貢献できる」(華氏)と、今後の成長に期待を覗かせる。
また、自動車分野でも進む電動化への対応に向けたさまざまなソリューションの提案であったり、人手不足を補うといった側面も含めたビルのオートメーション管理ソリューションなど、日本市場は同社のソリューションが入り込む余地が多々あるとのことで、「現在、日本市場は全社売り上げの10%ほどを占める規模。こうした社会課題の解決を図っていくことで、日本市場の売上高を5年後の2028年には倍増させたい」と意気込みを語っており、すでに提供している既存ソリューションのみならず、新たな社会課題解決に向けたソリューションを中心とした新規ビジネスにも挑んでいくことで、この目標を達成したいとしている。