Micron Technologyは10月13日(米国時間)、マレーシア・ペナン州バトゥカワン(ペナン島の対岸のマレー半島側)のBatu Kawan Industrial Park(BKIP)にある後工程工場に最先端の組立およびテスト施設を新たに開設し、開所ならびにMicron創業45周年を祝賀する式典を行ったと発表した。
同社はこれまでに同工場に10億ドルを投資しているが、今後数年間でさらに新施設建設や装置導入などのために追加で10億ドルを投資し、工場面積を合計150万平方フィートに拡大する予定だという。この拡張により、Micron Malaysiaは組み立ておよびテスト能力をさらに強化することができ、人工知能や自動運転車、電気自動車などの革新的な技術に対する需要の高まりに応える最先端のNANDフラッシュメモリ、PC向けDRAM、SSDモジュールなどの増産が可能になるとしている。
また同社では、世界で広く使用されているグリーンビルディング認証であるエネルギーと環境デザインのリーダーシップ(LEED)評価システムに準拠した施設の設計を推進しており、このアプローチにより、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の基準比で新施設のエネルギー消費は25%以上削減できるようになるとしている。
2022年に同社はこのマレーシアの施設が同社のグローバルネットワークとして初めて100%再生可能電力が供給される施設であることを発表しているが、この新施設の運営は、2050年までにネットゼロエミッションを達成し、2030年までに埋立地への有害廃棄物をゼロにするという同社の持続可能性への目標もサポートするという。
半導体工場の新増設ラッシュが続くマレーシア
マレーシアは現在、国外の大手半導体メーカーによる半導体製造工場の新増設が活発に進められている。すでにこれまでの2年の間、Intelがペナン州とケダ州のパッケージング工場に64億6000万ドルを投資しているほか、先端パッケージング(3D IC)工場も建設中である。Texas Instruments(TI)も27億ドルを投資してクアラルンプールとマラッカに半導体のテストおよびパッケージング工場の建設に着手している。Infineon Technologiesは、ペナン州でSiCウェハ工程を含む車載向けSiCデバイスの一貫生産確立に向け54億5000万ドルを投資する計画。Robert Boschもペナンでの半導体後工程サプライチェーン強化に3億5800万ドルを投じている。OSAT大手のASE Technologyもペナンに新たなテスト施設建設を進めている。
こうした半導体大手各社の取り組みはマレーシアが半導体サプライチェーンにおいて重要な役割を担っていることを意味する。こうした動きを踏まえマレーシア政府も10月13日に連邦議会下院に2024年度の国家予算案を提出したが、海外からの再投資に対して最大100%の税額控除を行い、さらなる投資促進に向けた税制改正案が含まれているという。
台湾TrendForceによれば、マレーシアは教育水準が高く、またASEANの中でシンガポールとともに英国の法制度を共有しているため、海外企業にとって競争力のある選択肢となっているという。英語、北京語、マレー語といった使い分けも可能で、スムーズなコミュニケーションができるほか、2つの世界トップクラスの港を有しており、大量輸送の容易さも魅力だという。