2023年10月17日から20日まで千葉県・幕張メッセにて開催されている「CEATEC 2023」で、シャープは生き物や環境などの自然の摂理を製品に活かすネイチャーテクノロジーや防災用の備蓄品を有効活用できるフェムテックソリューションなどを展示している。
ネイチャーテクノロジー「はねやすめ」
同社ブースでは、「ネイチャーテクノロジー」、「カーボンニュートラル」、「サステナビリティ」、「デジタルヘルスケア」の4つのゾーンを展開しており、その中でも多く注目が集まっていたのがネイチャーテクノロジーゾーンの「はねやすめ」だ。
シャープのネイチャーテクノロジーを活用した取り組みは15周年を迎えており、今までも蛾の目の形状を応用したフェイスシールドや、鳥の翼の平面形を応用したエアコンの室外機プロペラファンなど、さまざまな生き物の特性を製品開発に活かしてきた。
そうしたネイチャーテクノロジーの最新テクノロジーとして展示されたのが「はねやすめ」だ。これは、メンフクロウの柔軟で大きい翼でゆっくりと羽ばたく動きの仕組みを活かすほか、羽根の平面形状やしなり、間欠的はばたきについても製品開発に取り入れ、通常の回転ファンとは異なるエコで心地よい送風を実現したプロダクトである。
主に扇風機などで作り出される風は高周波数の風を調節しており、人工的な風であるためずっと当たっていると疲れやすいが、はねやすめの風は、自然の風が再現されており心地よい送風を実現。検証では、はねやすめの風を浴びるとストレスを低減する傾向があることも確認されたという。
また、今までは生き物の特性を活かすのみであったが、今回は特性も活かしつつ、形もフクロウに寄せて制作。フクロウの顔タイプや色味などさまざまなラインナップも用意しており、癒しを提供したいとのことだ。製品化も行い、2024年度に発売する予定としている。
備蓄生理用品のフェムテックソリューション
同社は他にも、フェムテックソリューションの展示も行った。
生理用品の使用推奨期限は3年とされており、防災備蓄用の生理用品が廃棄されることがあるという。そうした課題を解決するため、開発されたのが同ソリューションだ。
使用期限が近い防災備蓄用の生理用品を公共施設や学校のトイレで無料配布することで備蓄の再活用を図るとともに、女性が生理用品を取得しやすい環境を作ることを目的としている。
仕組みとしては、扉センサーに手をかざすと扉が下がり1番上からナプキンを取り出し、扉が閉まるといったもの。1枚取り出すとストックがすぐに下がり、3分間ほど取り出しを制限することで大量にナプキンを持ち去る行為を防止しているという。
では、1枚1枚でてくる仕組みを作れば良いのでは?とも考えられるが、ナプキンは形や大きさが数多くあることから、どのようなナプキンでも補充できるように上下に扉が動くシステムを開発したとブース担当者は語っていた。
また、IoTを活用した在庫管理システムと連動させることで、運営者に対して補充のタイミングや異常利用などを検知して通知するほか、各施設での利用状況と備蓄品の全体の在庫を把握することも可能だという。
実際に静岡県浜松市の学校などで実証実験がスタートしており、「これを機に女性にも男性にもこうしたソリューションがあることを認知してもらうと共に、今まで言えなかった女性のリアルな困りごとも言い出しやすい環境を構築していきたい」と語っていた。