日本電気(NEC)は10月13日、Beyond 5G/6Gの高速・大容量無線通信を実現に向け、モバイルアクセスの無線通信装置(RU)向けの150GHz帯対応送信ICチップを開発したことを発表した。
Beyond 5G/6Gでは100Gbps級の高速大容量通信が期待されており、これを実現するにはサブテラヘルツ帯(100GHzから300GHz)の活用が有効だという。特に、固定無線通信用に国際的に割り当てられているD帯(130GHz〜174.8GHz)の早期実用化が期待されている。
しかし、サブテラヘルツ帯はデバイス内部接続や自由空間における減衰が大きく、デバイス性能も限界に近いため、指向性の強い高利得アンテナ技術とそのビーム操舵技術の開発が求められていることから、NECはそのニーズに対応するため、今回150GHz帯対応のICチップを新たに開発した。同ICチップのアンテナ放射パターン測定では期待通りのビームフォーミング性能が確認され、4チャンネルAoC(Antenna on Chip)ICとしてビーム操舵が可能な世界初のICチップになるという。
同ICは、RF回路設計技術により、4チャンネル分の150GHz帯対応のフェーズドアレーアンテナと移相器、増幅器を1チップ上に集積。今回採用した22-nm SOI-CMOSプロセスは集積化に優れ、コスト効率が高く量産性に適しており、高周波化と小型化を両立してTCOの低減にも貢献するとしている。
なお、同研究は、総務省委託研究「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」の成果の一部で、NECは同技術の詳細を、10月15日から米国・カリフォルニア州モントレーで開催される国際会議「2023 IEEE BiCMOS and Compound Semiconductor Integrated Circuits and Technology Symposium (BCICTS) 」にて発表する。