Linux技術者認定「LinuC(リナック)」を運営するエルピーアイジャパン(LPI-Japan)は10月12日、新たに上級エンジニアを認定する「LinuCシステムアーキテクト認定試験」をリリースすると発表した。同日より試験予約を開始し11月6日より受験できる。
LinuCは、Linux技術をベースにITエンジニアの基礎となるIT技術スキルを証明する認定試験。コンピュータシステムの初級技術者から上級技術者までステップを踏んで必要な技術を体系的に習得できる認定だ。統計手法を用いた合格基準を持ち、中立公正な立場で公正に実施できることから、多くの企業で社内推奨され報償や昇格要件などに採用されているという。
今回新たに追加されたLinuCシステムアーキテクト認定は、オンプレ/クラウド、物理/仮想化を含むLinuxの大規模システムのライフサイクル全体を俯瞰し、柔軟かつ拡張可能なアーキテクチャの設計・構築ができる上級エンジニアを認定するもの。
同認定は、情報処理推進機構(IPA)が策定する各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・した指標「ITスキル標準(ITSS)」のレベル4のスキルレベルに相当し、従来のレガシーなシステム技術だけでなく、クラウド関連技術などを駆使した俊敏性のあるシステム技術(CI/CDなど)まで含んでいるという。
「具体的な技術を理解し、非機能要件に対応したシステム設計ができるITエンジニアが必要不可欠。プロジェクトを成功に導くキーとなる技術者を生み出していきたい」と、LPI-Japan 理事長の鈴木敦夫氏は新たな認定試験の創設の背景を語った。
また同認定は、アーキテクチャ設計やセキュリティやネットワークといった各領域の現役専門家39名の協力のもと作られた。出題範囲は、9つの主題「システムアーキテクチャ」「ネットワークとストレージの選定」「可用性の設計」「性能・拡張性の設計」「仮想マシンとコンテナの設計」「セキュリティ」「監視と分析」「継続的開発とテスト・デプロイ」「トラブルシューティング」から構成される。
技術用語が多く、具体的なLinuxの機能やOSS記載はあまり出題されないとのこと。学習方法としては、アーキテクチャ設計の全体像を学び各Linux/OSSの目的や機能を広く知ることが有効的だという。「1つの教材で出題範囲を過不足なくカバーするのは困難。多数の書籍やWebサイトを横断して学習するのがおすすめだ」と、LPI-Japan ITエキスパートの安良岡直希氏は説明した。
試験の実施方法は、テストセンター受験またはオンラインによる受験。マウスによる選択方式がほとんどだが、記述方式の問題も多少出題される場合もある。問題数は1試験あたり40問で試験時間は実質85分。受験料は2万7500円(海外受験料は250ドル)。2024年3月31日までに購入した受験チケットは半額キャンペーンが適用される。一般的な学習期間の目安としては半年~1年程度だとしている。
LPI-Japanは今後、年間1000人の認定者を輩出することを目指す。「30年後にはITエンジニアの40人に1人が認定されているといった状況にしていきたい」(鈴木氏)