伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は10月11日、ソラコムが提供するクラウドカメラサービスを活用して、愛知県のイチゴの新品種「愛きらり」の生育分析の実証実験を開始することを発表した。愛きらりの栽培農家と協力して、圃場に取り付けたカメラでイチゴの生育状態を定点計測し、クラウド上で収集したデータの分析を行い、最適な栽培条件を検証する。
愛きらりは、愛知県と愛知県経済農業協同組合連合会(JAあいち経済連)が共同開発したイチゴの新品種で、果実が大粒で収穫作業の負担が少なく、収穫量も多いことから生産者の収益向上につながる品種として期待されているもの。
今回の実証実験では、愛知県内の6つの圃場内に設置したカメラで、時間の間隔を空けて画像を撮影し、イチゴの株や葉の大きさ、果実の大きさ、色づき、数などを記録する。生育や出荷実績、環境センサーで取得した気象データなどと、カメラの画像データを照合し、収穫期間中の最適な栽培環境を導き出すという。
圃場の撮影には、ソラコムのクラウドカメラサービス「ソラカメ」を導入することで、撮影データをクラウド上に自動で保管して、スマートフォンで確認したり、遠隔操作で撮影タイミングを変更したりすることが可能になる。
時系列の変化や気象条件や栽培管理の異なる圃場ごとの違いを比較し、開花から収穫するまでの日数や肥大の程度、出荷基準に満たない果実の発生頻度など、形状の変化をデータ上で閲覧することができるので、より精度の高い分析を実現するという。
なお今回の実証実験は、愛知県のICT活用課題解決支援事業「AICHI X TECH」に採択されているもので、愛きらりの栽培工程の効率化や出荷の安定化を図り、2024年秋からの本格的な販売開始を目指す構えとしている。