富士通と理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)HPC / AI駆動型医薬プラットフォーム部門は10月10日、生成AIを活用して大量の電子顕微鏡画像からタンパク質の構造変化を広範囲に予測できるAI創薬技術を2023年1月に開発したことを明らかにした。
両社は創薬の開発期間や費用を削減するための次世代IT創薬技術の開発などを目指して、2022年5月に共同研究を開始していた。
今回の研究では、標的タンパク質の大量の電子顕微鏡の画像からその立体構造の形態とそれらが取り得る割合を推定する生成AI技術と、推定された割合から標的タンパク質の構造変化を予測する技術を開発した。さらに、それら2つの技術を基にタンパク質の構造変化を3D密度マップの連続的な変形として予測できるAI創薬技術も開発している。
富士通の生成AI技術「DeepTwin(ディープツイン)」と、理研の創薬分子シミュレーションの知見を応用して開発した2つの技術を活用することで、標的タンパク質の構造変化の予測を従来の1日から2時間に短縮できるようになったという。
両者は今回開発した生成AI技術について、標的タンパク質と抗体の複合体解析や分子の大域的な構造変化を高精度かつ高速に予測する次世代IT創薬技術を実現するための、コア技術のひとつとして活用していく方針だ。
また、富士通はタンパク質の構造変化の予測技術を「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」のAIイノベーションコンポーネントとして、10月10日から提供を開始する。