「MITテクノロジーレビューインサイト」と米Databricksは10月6日、データと生成AIの活用を通じた企業の成長機会をグローバルに調査した新たなレポート「データと AI の活用による成長基盤の構築」を発行した。
調査は、官民を問わず、世界の大手企業・組織で働くCIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、CDO(最高デジタル責任者)、そのほかテクノロジー分野のリーダー600人(アジア太平洋・日本地域の200人超を含む)を対象に行い、経営幹部へのインタビューも実施された。
対象組織には、ADP、コンデナスト、デル・テクノロジーズ、ゼネラル・モーターズ、スターバックス、レイザーペイ、リジェネロン・ジェネティクス・センター、米国運輸保安局などが含まれている。
調査の結果、日本は世界でもAI導入の動きが最も速い国であることが判明し、日本企業の幹部の70%が自身が属する業界や分野でのAIの導入ペースは「非常に速い」または「速い」と回答。これは調査対象国の中で最も高く、インド(68%)、フランス(64%)がこれに続いている。
また、回答者の大多数(81%)は今後2年間でAIが業界の効率を少なくとも25%押し上げると予想し、うち3分の1は少なくとも50%以上の効率化を見込んでいると回答した。日本の回答者は、半数近く(48%)が26~50%の効率化を、3分の1近く(30%)は51~75%の効率化を見込んでいると回答している。注目すべきは、75%を超える効率化を見込んでいるとの回答が8%もあり、これは調査対象国の中で最も高い数値だという。
テクノロジーリーダーはこれまで以上の成長をもたらすために、データとAIの資産を必要としており、調査対象となったすべての組織が今後1年間にデータ・インフラストラクチャの近代化とAI導入への支出を増加させると回答。半数近く(46%)は、予算の増加率が25%を超えると予測し、日本の回答者は40%が26~50%の予算増を、20%が51~75%の予算増を見込んでいると回答している。
さらに、事業部門が生成AIの利用を望む中、経営幹部はデータの正確性と完全性、そしてデータのプライバシーとセキュリティを提供できるガバナンスの枠組みを求めており、60%がデータとAIに関する単一のガバナンス・モデルが「非常に重要」と回答。
調査対象となった組織の88%が生成AIを使用しており、うち26%は投資・採用の段階、62%が実験中の段階にあることが分かった。過半数(58%)は、それらの能力を開発するためにハイブリッドなアプローチを採用し、一部のユースケースではベンダーの大規模言語モデル(LLM)を使用、IP所有権やプライバシー、セキュリティ、精度の要件が厳しい場合には独自モデルを構築しているという。
加えて、自社のデータ戦略をどう改善するのかという質問に対しては「人材への投資と従業員のスキルアップ」という回答が39%で最多となった。人材の獲得と維持に役立つイノベーション奨励は「非常に重要」(72%)という回答も、高い割合を占め、日本の経営幹部の中では自社のAI戦略に必要な改善点として「従業員のトレーニングやスキルアップの必要性」(42%)、リアルタイム分析に不可欠な「データ処理速度」(32%)に投資するという回答が、上位となった。
そして、調査対象企業の4分の3近くがレイクハウス・アーキテクチャを採用しており、残りの企業の大半が今後3年以内の採用を見込んでいる。日本は、採用率がダントツのトップ(調査対象企業の80%)で、88%のCIOがレイクハウスの採用がデータおよびAIの目標達成に「大きく」役立っていると回答している。