NTTデータ先端技術とインドのAlgoAnalyticsは10月5日、大規模言語モデルを高度に使用する非定型業務自動化(デジタルAIアシスタント)の実証実験を、2023年10月に共同で開始すると発表した。企業内への導入支援サービスの2024年4月までの開始を目指す。
従来のアプローチでは、プロセスと入出力のフォーマットが予め定まっている定型業務を中心とした自動化を推進してきたが、コミュニケーションを前提とし人の判断を必要とする非定型業務の自動化は難しいとされてきたという。
例えば、会議というコア業務には、意思決定を行うという真のコア業務に加え、会議参加者全員のスケジュール調整や参加者が遠方の場合には出張手配を行うといった、定型化が困難なコア付帯業務が存在する。
こうした非定型業務に対して大規模言語モデルを使用することで、さらなる自動化の推進が期待できるとしている。
米OpenAIのChatGPTを始めとする事前学習済みの大規模言語モデルの登場により、既存AIの課題だったという精度や学習コストの問題などの導入障壁が下がり、コスト対効果が低いとされてきたロングテールな業務(頻度は少ないが決してなくならない業務)への適用が可能になってきた。
今回の検証では、大規模言語モデルをベースとしたAI(人工知能)が、インタラクティブなコミュニケーションを必要とする非定型業務を代替するデジタルAIアシスタントとして機能することが可能かについて、ユースケースを通して検証する。
デジタルAIアシスタントが代替するコア付帯業務はコア業務と密接に結び付いているため、遂行には業界や業務に関する知識が必要だ。デジタルAIアシスタントが従業員と相談しながら必要な業務知識や情報を基に自律的に業務遂行する、エージェント機能の実用性評価を行うとのこと。
自然言語処理技術を持つというAlgoAnalyticsとAIによる自動化ノウハウを持つというNTTデータ先端技術が共同で検証することにより、先進技術の活用によるサービス化の早期実現を目指すとしている。
今回の取り組みを通して、従業員1人に対して専属のデジタルAIアシスタントが伴走し、過去のコミュニケーションを通じて収集したデータから、個別業務に特化したデジタルAIアシスタントへの指示を行う。
例えば、航空会社の好み、新幹線の座席位置など個人の嗜好や傾向を学習し、その情報を基に出張手配を行う「空気の読めるパートナー」としてデジタルAIアシスタントが振舞うことで、従業員が本来の真のコア業務に集中できる環境を提供し、業務の質と生産性の向上につなげる。
両社は同検証による実効性評価と共に、ビジネス改革やデジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現を目指すユーザー企業との共創によるデジタルAIアシスタントの成熟を図り、コンサルティング・サービスなどを含む企業内への導入支援サービスの2024年4月までの開始を目指す。