NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は10月4日、直接液冷(Direct Liquid Cooling)方式のサーバ機器にも対応し省エネ型の冷却環境を実現するデータセンターサービス「Green Nexcenter」を2024年度から展開することを発表した。
昨今のAIの利用拡大などを背景に、高発熱サーバの冷却に対応可能な設置環境を持つデータセンターの要求が高まっている。高発熱サーバの例として「NVIDIA DGX H100」が挙げられるが、これは1ラック(2サーバ)当たりの最大消費電力が20.4キロワットであり、従来の空冷方式だけでなく水冷方式への対応も開始している。
実際に、NTT Comに対しても高発熱サーバ対応のデータセンターに関する問い合わせが急増しているとのことだ。そこで同社は、再生可能エネルギーを活用してゼロカーボンを実現し、さらに液冷方式の導入によって高発熱サーバへの対応が可能な環境配慮型の省エネデータセンターとして、Green Nexcenterの展開を開始する。
同社はこれにより、大量の電力を消費する液冷方式サーバにも対応することで、冷却に必要な電力量を削減し、脱炭素化に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)にも貢献するとしている。
液冷方式とは、空気よりも熱伝導率が高い液体を使うことで、効率的にサーバを冷却する仕組みだ。提供ルーム単位では、pPUE(partial Power Usage Effectiveness:部屋単位など特定部分での電力効率)は目標値で1.15だという。従来型のデータセンターと比較してサーバ機器冷却の消費電力を3割ほど削減しつつ、1ラックあたり最大80キロワットの電力消費にも対応できるそうだ。
まずは、省エネデータセンター展開の第一弾として、既存の「横浜第1データセンター」(神奈川県 横浜市)を一部リノベーションし、2024年度の第4四半期ころにGreen Nexcenterへの対応を開始する。その後、2025年度をめどに京阪奈データセンター(仮称)を新設する予定。以降の新設データセンターにおいても、Green Nexcenter化を進めるそうだ。
NTT Com 執行役員 プラットフォームサービス本部 クラウド&ネットワークサービス部長の金井俊夫氏は、今後の展望について「NTTグループが開発を進めるIOWNの要素技術であるAPN(All Photonics Network)では、光電融合技術によって消費電力が大幅に抑えられる。将来的には、各データセンター間をAPNでつなぎ合わせることで、超低消費電力なICT基盤を実現したい」と語っていた。