2023年10月4日から6日まで幕張メッセで開催されている「第14回 高機能素材Week」内の「第3回 サステナブル マテリアル展」で、東レは、使用済みペットボトルを原料としたリサイクル繊維「&+(アンドプラス)をはじめ、同社の技術や素材を活用した資源循環型社会への貢献をテーマにした展示を行っている。
ペットボトルから白無垢? リサイクル繊維「&+」
&+は、東レが新たなリサイクル繊維ブランドとして打ち出している、使用済みペットボトルを原料としたポリエステル繊維だ。同ブランドの強みとして、一般的な合成繊維と比べても劣らない性能があるといい、同社が協力企業と共に開発した独自のフィルタリング技術を活用することで、石油由来のヴァージン原料と同程度の白度と粘度をもった高純度のペレットを生産できるとする。
高品質のリサイクルが可能な要因として、東レのブース担当者は、日本国内におけるペットボトルリサイクルの質を挙げる。日本では色付きプラスチックが規制対象となっていることもあり、質の高い使用済みペットボトルを入手しやすい土壌が形成されているとのこと。そうした背景と、同社の素材技術が掛け合わされることで、良質なリサイクル繊維が実現するという。
また東レブース内では、&+によって紡がれた白無垢も展示。「ペットボトルから白無垢へ?」という、まったくつながりを感じさせない2つのものをつなぐことで、リサイクルの可能性を感じてもらう狙いがあるとのことだ。
前出のブース担当者によると、&+は現状「原料であるペットボトルをどう回収してくるのかという課題はある」とするものの、「1つの技術としては確立されている」といい、独自開発のリサイクル識別システムによる&+の認証技術などを併せて発展させながら、「リサイクル繊維としてのトレーサビリティ構築を実現することを目指している」と話した。
20を超える東レの技術が詰まったモビリティも展示
また東レブース内には、同社が1970年から提供を続ける高感度・高機能素材「Ultrasuede」も展示。長年提供を続ける同製品だが、昨今では、他製品の生産で生じるポリマー廃材のリサイクルや、植物由来ポリマーへの移行など、原料の面から環境負荷低減に取り組んでいるという。
現在はポリエステル素材のうち植物由来素材の割合は30%だといい、すでに植物由来素材100%のポリエステル素材の開発には成功しているとのこと。今後は原料調達や生産における課題を克服しながら、量産に向けて取り組んでいくとする。
さらにこのUltrasuedeをはじめ、リサイクルナイロン100%の防汚カーペットなど、東レが保有する20もの技術を詰め込んだ未来モビリティのコンセプトモデル「TEEWAVE CX1」もブース内に展示。「素材を見せるだけでは利用のイメージがつかみにくいが、このように利用イメージと併せて展示することで、サステナブル素材の提案につながればいい」と東レ担当者は語った。