HORIBAグループで米国の拠点を統括するHORIBA Instrumentsは10月2日(米国時間)、環境やプロセス市場向けにプロセスラマン分光装置を開発・生産・販売する米プロセス・インスツルメンツ(PI:Process Instruments)を買収したことを発表した。

  • PIのLee M Smith代表とHORIBA InstrumentsのJai Hakhu代表

    (左) HORIBA InstrumentsのJai Hakhu代表、(右)PIのLee M Smith代表(出所:HORIBA)

PIは北米を中心に石油精製・石油化学に関する産業プロセス計測事業を展開しており、HORIBAとしては同社が持つグローバルの販売網を活用してPIの事業拡大を図ることが今回の買収に対する狙いだという。

  • プロセス・インスツルメンツの社屋の様子

    PIの社屋の様子(出所:HORIBA)

HORIBAは、より速く高品質なものづくりの実現には産業プロセスのモニタリングが重要であるとしており、特に石油精製・石油化学の現場においては過酷な使用環境でさまざまなパラメーターを効率よく計測することが求められることを指摘している。

その中で、PIが持つ主力製品のプロセスラマン分光装置は堅牢性に優れ、多くの計測対象パラメーターを1つの装置で計測できるため北米での需要も高く、HORIBAのグローバル販売サポート網を活用することで、PIの事業を北米からグローバルへと拡大できるだろうともしている。

加えて、PIがこれまで石油化学市場で培った堅牢性に優れた装置とデータ解析力に、HORIBAの分光技術を組み合わせることで、高精度なアプリケーションの創出が期待できるともしており、石油産業以外にも製薬や素材などの産業プロセスモニタリングの新しい価値を創造、新たな市場シェアの獲得も狙っていくともしている。

PIの主力製品にも使用されているラマン分光はHORIBAにとっても強みとなる技術であり、他の代表的な分析ソリューションであるクロマトグラフィーや近赤外分光と比較して高精度な分析ができることが知られていることから近年、産業プロセスモニタリングへの展開ニーズが高まっているという。

HORIBAはラマン分光のほかにも高精度な分光技術群を有しており、PIとHORIBAの技術力を組み合わせることで、産業プロセスにおいてこれまで困難とされてきた高精度なリアルタイムモニタリングを実現できるだろうとしている。

特に、投資が盛んな分野では開発競争の激しさが増しており、より迅速かつ高精度な産業プロセスモニタリングへのニーズが高まっているため、両社の技術力の相乗効果で新たなアプリケーション創出を実現させたいとする。

なおHORIBAは、カーボンニュートラル分野でのアプリケーション創出も視野に入れることを示しており、「エネルギー・環境、バイオ・ヘルスケア、先端材料・半導体」の3つのメガトレンド市場でさまざまなアプリケーションを展開し、ものづくりの革新に貢献したいとしている。