インターステラテクノロジズ(IST)は10月2日、情報通信研究機構(NICT)との間で、超超小型衛星によるフォーメーションフライト(編隊飛行)を用いた通信システムに関する共同研究を開始したことを発表した。
衛星通信の市場は急速に拡大しており、従来の大型衛星による「衛星通信1.0」の時代から、SpaceXのStarlinkを筆頭とした、遅延が少ない高速通信が可能な「衛星通信コンステレーション」(衛星通信2.0)がトレンドとなっている。
ISTでは、超超小型衛星をフォーメーションフライトさせることで宇宙に巨大なアンテナを形成する次世代技術の研究を進めている。同技術は、大型衛星以上の性能を発揮するとともに、いくつかの衛星が壊れても全体の機能を維持できるロバスト性に優れた衛星通信を実現できるとする。
また同社によると、この技術と衛星通信コンステレーションを組み合わせることで、専用の地上アンテナを必要とするStarlinkなどに対し、スマートフォンのような小型デバイスで宇宙空間の衛星と直接通信できる、次世代衛星通信3.0の実用化を目指しているという。
一方のNICTは、衛星通信に関する研究上の知見を数多く有する。このことから両者は、今般開始した共同研究を通じて、超超小型衛星を用いた通信システムのコア技術を確立するとともに、将来的な事業化を目指すとのことだ。
ISTは、衛星通信領域において高度な先端技術を保有するNICTとの共同研究を通じて人工衛星開発を加速させ、ロケット事業と人工衛星事業の両方を有するという垂直統合の強みを最大化していくとする。同社代表取締役社長の稲川貴大氏は発表に際し、「次世代・次々世代の先端的衛星通信技術をNICTと共同研究することで早期の実用化が可能となり、通信領域における日本のプレセンス向上にも貢献できるものと確信している」とコメントを残している。