テムザックは、農業経験のない人でも取り組めるロボット技術を用いた米作りの省力化農業「WORKROID農業」を実践している宮崎県延岡市内の圃場にて、第1回目の収穫を行い、農業における省力化の可能性を確認できたことを発表した。
米は日本の数少ない食料自給品目であるものの、農業従事者の高齢化や担い手不足、そして耕作放棄地の拡大に歯止めがかからない状況が続いている。
そうした状況下では、労働の省力化・省人化に向けた技術開発が急務であるが、テムザックは、自社がもつロボット技術を活かし農業課題を解決するため、2022年12月に宮崎県延岡市と北浦農業公社と連携協定を締結。2023年4月には、延岡市に農業ロボットの実践拠点「アグリ研究所」を開設し、農業経験のない人でも取り組める省力化農業であるWORKROID農業を始動させるなど次世代の、農業に向けたあり方の模索を進めてきた。
2023年春から進めてきたWORKROID農業では、雑草抑制&遠隔監視ロボット「雷鳥1号」を開発ならびに投入を行ったほか、ドローンによる播種作業の実施、水管理システムの運用などといったソリューションを最大限活用することによる省力・省人化を図りつつ、米粉用米の水稲直播栽培に取り組んできたという。
稲穂が実り、実際に収穫を行った結果、米作りにかけた労働時間は既存農業の529時間と比べWORKROID農業では29時間まで削減でき、かつ1反辺り400kg弱の収穫ができたという。テムザックでは、この結果からWORKROID農業が標榜する「省力化」や「土地に張り付かない農業」などを実現できる可能性を確認することができたとしている。
なおテムザックは今後、収穫ロボットなども開発を行い、それを順次投入していくことに加え、収穫したWORKROID米を製粉し米粉にすることで6次産業化の仕組みづくりにも挑戦したいとしており、米粉用稲作から米粉の流通までを一気通貫で行うことができる省力化農業を確立し、全国に拡大していくことで、耕作放棄地の拡大を食い止め、日本の食料自給率維持や食料安全保障への貢献につなげたいとしている。