コーセー、アルビオン、吉野工業所の3社は9月28日、環境に配慮した資材の開発に取り組み、金属部品を使用しない「メタルレスポンプ」を共同開発したことを発表した。
コーセーグループは、さらなる成長ステージを目指した中長期ビジョン「VISION2026」において、基本戦略の1つに「グループ内シナジーの発揮と他者協業による取り組み加速」を掲げている。そして今回は、グループ会社であるアルビオンとのグループシナジーを追求する中で、サステナブルな資材の観点で初めて共同開発に着手したとする。
コーセーでは、環境に配慮した容器包装の開発に向け、4R(Reduce・Reuse・Recycle・Renewable)実現への取り組みとして、さまざまなリサイクル素材の採用など多面的な検討を進めているとのこと。その中で、プラスチックの資源循環促進に対する意識や社会要請がより一層高まっていることを受け、モノマテリアル(単一素材)化を目指し、メタルレスポンプの開発に取り組んだという。
モノマテリアル化の実現は、資源を循環させる際に素材ごとへの分解・分別が不要になるというメリットがある。しかしながら、化粧品容器でも多く使用されているポンプディスペンサーは、大部分がプラスチックで構成されているものの、中身を吸い上げるために重要な役割を担う機構部に、耐久性に優れる金属製のバネが使用されている。このバネの性能をプラスチックで再現することは非常に困難であることから、これまでモノマテリアル化の課題となっていたという。
今回3社が開発したメタルレスポンプは、金属製のバネに近い強度や性能を発揮する素材の検討や形状設計を行い、中身を吸い上げる強度や耐久性を繰り返しテストすることで、目標の品質を実現。金属製バネをプラスチックで置き換えることで、廃棄後の分別回収を容易にしプラスチックのリサイクル促進への貢献が期待できるとする。
コーセーなどは、リサイクルが難しいプラスチックの使用量削減に向けたモノマテリアル化の第1歩として、金属部品を使用しないメタルレスポンプを足掛かりとしながら、パッケージに使用する素材の単一化、および使用素材の種類削減に取り組むとのこと。そして今後も各社の知見を持ち寄り、企業の垣根を越えて協働することで、さまざまな切り口から持続可能な社会の実現に寄与するソリューションを創出していくとしている。