アリババクラウドは9月28日、杭州(中国 浙江省)で開催されるアジア競技大会とアジアパラ競技大会において、選手・ジャーナリスト・スタッフらが利用する3つのアジア大会村で利用するための低炭素行動を奨励するWebアプリケーションを開発し、提供することを発表した。さらにアジアパラ競技大会においては、聴覚障害者が大会に円滑に参加するための仮想手話通訳者も提供するとのことだ。

今回同社が大会に提供するアプリは、参加者らが低炭素につながる行動を取り入れ、デジタル活動を通じて二酸化炭素排出量を削減するための支援をするものだという。アプリユーザーが公共交通機関の利用や、廃棄物のリサイクル、食品廃棄物の削減など、環境に配慮した行動を実施すると、カーボンポイントが付与される。

大会の各村では、スーパーマーケットのレジ袋を使用しなかった場合や、食堂で完食した皿の写真を撮影した場合などに、QRコードをスキャンして低炭素行動をアプリに記録できる。アプリはそれぞれの低炭素行動をカーボンポイントに換算可能だ。

参加者はアプリでポイントを貯めることで、大会をテーマにした限定ピンバッジや低炭素製品と交換できるとのことだ。なお、今大会では、選手村全体でアプリへのアクセスが約31万回あり、9月16日の選手村開設以降で約7トンの二酸化炭素削減を記録しているという。

  • アプリを使用している場面のイメージ

    アプリを使用している場面のイメージ

また、同社は10月22日から28日にかけて開催されるアジアパラ競技大会において、聴覚障害者向けの手話通訳者であるデジタルアバター「シャオ・モー(Xiaomo、中国語:小莫)」を提供する。

このアバターを決済プラットフォーム「アリペイ」のミニアプリに統合して、手話と中国語音声の双方向翻訳をサポートするという。ユーザーが音声メッセージを入力すると、シャオ・モーが聴覚障害者に向けて手話に翻訳する。ミニアプリは手話を音声言語にも変換できるため、聴覚障害者と聴覚障害ではない人とのシームレスなコミュニケーションを支える。

手話はジェスチャーや表情、体の動きを複雑に組み合わせており、音声言語とは異なる独自の音声学、語彙、文法を持つ。そこで、アバターの開発段階ではこれらの複雑さに対応するために、アリババクラウドは中国浙江省の手話使用者や聴覚障害者から収集し注釈を付けた2万5000個の手話ジェスチャーをまとめた手話翻訳データセットを作成した。

視覚認識アルゴリズムとモーション追跡機能を活用して聴覚障害者の動きを取り込み、言語翻訳モデルを使って手話を音声言語に翻訳したとのことだ。音声言語を手話に変換するためのディープニューラルネットワークとリップムーブメント生成モジュールも開発し、仮想通訳者のキャラクターが手話のジェスチャーを正確に行えるようにしているそうだ。

  • デジタルアバター「シャオ・モー」

    デジタルアバター「シャオ・モー」