テラスカイは9月27日、オンラインとオフラインのハイブリッドにより、記者説明会を開催した。説明会では、Salesforceで財務会計から人事給与、販売・購買・在庫管理までの業務を統合し、戦略的営業活動と迅速な経営判断を可能にする新クラウドサービス「mitoco ERP」を同29日から提供開始すると発表した。

  • テラスカイ 代表取締役 CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏

    左からテラスカイ 代表取締役 CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏、同 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏

これまでの知見を集結した「mitoco ERP」

冒頭、テラスカイ 代表取締役 CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏は「テラスカイのプロダクトの変遷は、ツールとして利用されるものから業務領域に拡大してきたという経緯がある。mitocoはクラウドネイティブに開発されたのグループウェアであり、単なる社内コミュニケーションだけでなく、顧客情報と連携してビジネスを進化させる」と述べた。

  • 佐藤氏

    佐藤氏

mitoco ERPは顧客情報管理からグループウェアや財務会計、人事給与、販売購買管理などのバックオフィス業務を統合し、Salesforceのプラットフォーム上で管理する考え方を総称している。まとめて管理することで、データを横断的に分析し、迅速かつ的確な経営判断をサポートする。

具体的には、Salesforceをプラットフォームとしたサービスでマスター・データを一元化し、グループウェア、経費・勤怠管理のほか、会計から人事給与、販売・購買・在庫管理までの業務システムを含めた幅広い機能が利用できる。

また、国内の法改正に対応(電子帳簿保存法対応、インボイス対応)、操作方法のガイドやカーソルを重ねると簡単案説明文を表示するツールチップなど、企業の初期導入費用を低減させるデジタルアダプションツールを標準装備し、AIチャットボット「みとこん」よる対話型サポート機能を提供する。

  • 「mitoco ERP構想」の概要

    「mitoco ERP構想」の概要

オールインワンのクラウドERPを目指すテラスカイ

続いて、登壇したテラスカイ 取締役 専務執行役員 製品事業ユニット長の山田誠氏は「ERP(Enterprise Resource Planning)は、個別SaaS(Software as a Service)とオールインワンに二分化されている。また、オンプレミスからクラウドへの移行が進んでいるが、クラウドも各現場部門が主導して部分最適化した結果、多数のSaaSが企業内に乱立し、マスタやデータ、オペレーションに至るまで一元化できずに生産性の低下を招いている。当社としてはオールインワンのクラウドERPとして提供し、次世代のAI型ERPを目指す」と話す。

  • 山田氏

    山田氏

新サービスに加え、昨年9月に富士通から国内独占販売権を得た販売管理・在庫管理システム「GLOVIA OM」を組み合わせることで、Salesforceを統合基盤として稼働するmitoco ERPを実現するという。その一環として「mitoco 会計」を提供開始する。

mitoco会計は、財務・管理会計(GL)、債務管理(AP)、債権管理(AR)、固定資産・リース資産管理(FA・LM)、電債管理(ER)、電子帳簿保存法対応オプション(EB)の6製品から構成されているクラウド会計システム。

  • 「mitoco会計」の概要

    「mitoco会計」の概要

主な特徴としては、10月1日から開始されるインボイス制度に対応。 受領した適格請求書を保存制度の要件に沿って保管・管理することができる。また、AIチャットボットのみとこんが24時間365日、利用者の要望に対応し、財務諸表など標準レポートの出力指示やmitoco会計の使い方に関する質問など、テキスト形式で対応する。

  • AIチャットボット「みとこん」の概要

    AIチャットボット「みとこん」の概要

アダプションツールも標準搭載し、ガイダンス機能で導入障壁を下げるとともに、システム定着化を支援する。

まずは、9月29日に財務・管理会計をリリースし、次いで2024年2月に債務管理、同年半ばに債権管理、2025年に固定資産、同年下期に電子債権のリリースを予定し、ERPのサービスを完成させていく予定だ。

  • mitoco会計の製品ロードマップ

    mitoco会計の製品ロードマップ

さらには、2024年以降にはOpenAIの「ChatGPT」搭載の生成AIを活用した機能の提供を予定し、把握したいデータを問いかければ瞬時に提示することを可能にするなど、引き続き製品の強化に取り組む考えだ。

同社ではオンプレミスのERPユーザーや、クラウドサービスの複数利用によりデータの一元化に課題を抱えるユーザーに向けて、mitoco ERPによる全体最適を提案し、2028年までに中堅・中小企業を中心に300社の売り上げを目指す。なお、システム利用料はSaleforceのライセンスを含めて、月額(10万明細)7万円となる。

  • mitoco会計の製品ロードマップ

    mitoco会計シリーズの料金プラン