積水ハウス、フクビ化学工業、エスエスピーの3社は9月27日、廃棄となった際の処理が困難とされる複合素材「塩ビクロス」に新たな付加価値を与えて再生したアップサイクル内装壁面建材を共同開発したことを発表した。

  • 塩ビクロスのアップサイクル内装壁面建材を利用した住宅のイメ―ジ

    塩ビクロスのアップサイクル内装壁面建材を利用した住宅のイメ―ジ(出所:積水ハウス)

国内における壁紙生産量(約6.5億m2)のうち93%ほどを占める塩ビクロスは、塩化ビニール、炭酸カルシウム、パルプが配合された複合素材であるため、リサイクルによる再利用が難しく、コストの高い埋め立てが必要な処理困難物として廃棄されている。しかし昨今では、同素材を防音材などの機能材としてリサイクルする動きも見られるという。

そして積水ハウスなど3社は今般、塩ビクロスの処理課題解決とリサイクル促進に向け、塩ビクロス廃材をアップサイクルしたデザイン建材を共同で開発したとする。3社はこの開発について、住宅業界内での塩ビクロスの循環型モデル構築を可能にする取り組みだとしている。

今回の開発では、積水ハウスのゼロエミッション活動拠点である資源循環センターにて、分別された廃棄塩ビクロスを原材料として使用。エスエスピーの混錬技術によって、同素材の抗生剤である塩ビとパルプを混ぜたリサイクル原料として再資源化したうえで、フクビ化学工業の異形押出成型技術を用いてデザイン建材としてアップサイクルされた。

このリサイクル建材は、時代を問わず人気を集めるリブ柄の壁面材として使用が可能で、木材を使用した場合には非常に高価な建材になるのに対し、塩ビクロス由来のリサイクル素材を用いることで価格を抑えることができるとする。またサステナブルでありながら、塩ビクロスを構成する天然素材の炭酸カルシウムとパルプの素材感を活かし、愛着がわく建材の実現にこだわったという。

今回開発されたアップサイクル内装壁面素材は、戸建住宅や集合住宅の新築・リフォームにおける採用に向けて、2024年4月を目標に商品化を進めるとのこと。積水ハウスなど3社は、塩ビクロス由来の内装壁面建材を普及させて建設廃棄物の削減と有効活用を促進することで、住宅・建設業界における資源循環型モデルの形成に寄与し、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組みを推進していくとしている。