freeeは9月26日、報道関係者を対象とした「freee新プロダクト報道関係者向け勉強会」を開催し、2025年1月から開始される定期健康診断の結果報告とストレスチェック結果の電子申請義務化を見据えた今後の展開に関する発表を行った。
加えて、健康診断・ストレスチェックに関わる業務を効率化するサービス「freee人事労務|健康管理」が10月31日から提供開始されることも紹介された。
会見には、freee HRプロダクト本部 新規事業開発室 マネージャーである伊関洋介氏が登壇し、新サービスに関する説明を行うとともに、freeeのHR領域における取り組みを紹介した。
本稿では、その一部始終を紹介する。
法で問われる「50人以上の義務」とは?
初めに、伊関氏は新サービスを紹介するにあたり、リリースに至った背景として「freeeのHR領域における10年間の取り組み」を紹介した。
「freeeは、2014年に『給与計算freee』をリリースして以降、その後の3年をかけて、現在の取り組み領域の骨格である給与計算・勤怠管理・入退社・年末調整といったコアのモジュールを構築しました。そして、その後6年間をかけて、各サービスの内容を強化、充実させてきたという歴史があります」(伊関氏)
このようにfreeeの主領域の拡大を進める一方で、労務担当にインタビューやアンケート調査を重ねているうちに、勤怠の打刻の修正や漏れについてのフォローや、公的機関に対しての問い合わせ業務、そして健康診断やストレスチェックといった衛生委員会の運営といった「コア業務の周辺での困り事」を抱える企業が多いということが判明したという。
また、新サービスリリースの背景には「50人以上の義務」という法律も強く影響を及ぼしているという。
「『50人以上の義務』とは、労働安全衛生法に基づき、事業場の従業員数が50人以上になると、会社として行わなければならない義務や報告が新たに発生することを指します。具体的には、産業医を選任したり、職場の衛生をより良くする担当者として衛生管理者を選任したりして、衛生委員会を月1回開催するなどの必要があります。それ以外にも、法律の中では『定期健康診断結果報告書の提出』や『ストレスチェックの実施と結果報告』といった項目も義務として設定されています」(伊関氏)
加えて、2023年5月に実施された労働政策審議会安全衛生分科会にて「労働災害統計や政策の企画・立案の基盤となる労働者死傷病報告について、報告者(事業者)の負担軽減や報告内容の適正化、統計処理の効率化等をより一層推進するため、デジタル技術の活用により、報告は原則として電子申請とすることを新たに規定する」という内容が決定したことに伴い、健康診断結果やストレスチェックなどの報告が電子申請の義務化対象となったことも新サービスの提供に至った要因となっているそうだ。
「freee人事労務|健康管理」の3つの特徴
ここまでサービス提供の背景を紹介してきたが、ここからは「freee人事労務|健康管理」の詳細を説明していく。
「freee人事労務|健康管理」は電子申請義務化に対応し、健康管理やストレスチェック業務を効率化するためのサービスだ。料金は1ユーザーにつき月額300円。
このサービスについて、伊関氏は以下の3つを特徴として挙げた。
・freee人事労務との連携
freee人事労務の従業員マスタと勤怠設定との連携により健康診断/ストレスチェックの対象者自動抽出を実現
・電子申請
健康診断およびストレスチェック結果報告の電子申請に対応
-定期健康診断結果報告書
-心理的な負担の程度を把握するための検査結果など報告書
・スマホ対応
ストレスチェックなど従業員は簡単にスマホで回答可能
「特徴の1つ目は、『freee人事労務との連携』です。サービス内の従業員データや勤怠に関連した設定情報を生かしてアナログ作業をなくしていきたいと考えています。2つ目は『電子申請』です。義務化の対象となった健康診断やストレスチェックの報告書の電子申請に対応することが可能です。弊社調べでは、電子申請まで対応している健康管理サービスは、まだ弊社だけだと自負しています。3つ目の『スマホ対応』については、従業員の皆さんがPCを持ってない事業所もたくさんありますので、スマートフォンの利便性を高めていくことによって、従業員側の効率化も図っていきたいです」(伊関氏)
一番の特徴とも言えるfreee人事労務との連携では、氏名や年齢、所属、入社日といった従業員情報をはじめ、週の所定労働日数や1日の所定労働時間から判定した管理対象従業員の情報、そして電子申請に欠かせない労働保険番号(電子申請設定)の情報を連携することが可能となっているという。
会見の最後に伊関氏は、以下のように今後の展望を述べた。
「今後は、健康診断受診日をスマートフォンから回答できる機能や過重労働や休職状況を可視化する安全衛生レポート機能、従業員ごとに健康診断の結果をPDFで保存する機能などの提供を予定しています」(伊関氏)