米国SAS Institute Inc(SAS)は9月25日、 産業向けソリューションへの10億ドルの投資の一環として、業界向けソリューションを通じて信頼性の高い生成AIを提供することを発表した。
同社は、製造業や物流業でデジタルツインシミュレーションを構築する顧客と協業しており、合成データ生成に関しては、銀行や医療業界の顧客と連携している。加えて、同社は大規模言語モデル(LLM)の産業への適用に関する幅広い研究を行い、顧客にとって信頼性の高い安全な結果を提供することに注力しているという。
9月11日~14日にラスベガスで実施されたSAS Explore(SASが開催するテクノロジーカンファレンス)では、生成AIに関するイノベーションの進展として「合成データの生成」「デジタルツイン」「大規模言語モデル(LLM)」について語られた。
「合成データの生成」では、現実世界の複雑さを反映し、統計的に整合性のある表形式データを作成してするべく、敵対的生成ネットワーク(GAN)への特許取得済み拡張機能を開発したことを発表した。この機能により、プライバシーの保護、バイアスの緩和、希少な事象の補強が可能となり、デジタルツインの基盤として機能するようになるという。
また「デジタルツイン」では、組織は、混乱に備えてレジリエンスを向上させるために、サプライチェーンや製造ラインなどの複雑なシステムをシミュレーションし、最適化する必要があることが語られ、例として、SASがフェデラルパブリックサービスファイナンス(Federal Public Service Finance)やウィーネンベルガー(Wienerberger)などと協力し、オペレーションの最適化、問題のより良い診断、予知保全対策の改善を行っている事例が紹介された。
「大規模言語モデル(LLM)」大規模言語モデル(LLM)は、生成AIの重要な要素であり、基本モデルはビジネスに真の価値を提供するために、データプライバシーを保護しながら、産業のユースケースに合わせて微調整する必要があることが説明された。
加えて、SASはマイクロソフトとAIの開発において信頼性とセキュリティを提供しつつ、顧客の生産性向上に取り組んでいることが紹介された。
両社は、Microsoft Azure OpenAIのスケールと、SASのエンタープライズタスクのオーケストレーションおよび企業の業務上の意思決定に使用されている既存のアナリティクスを組み合わせた生成AIの統合を共同で開発しており、生成AIの統合は、2023年第4四半期にプライベートプレビューで利用可能になる見込み。