Vicorは、米ライトニング・モーターサイクルの電動オートバイに、Vicorの電源モジュールが採用されたことを発表した。
2007年に設立された同社が開発した電動オートバイは現在、時速215.962マイルという陸上での最速記録(SCTA(南カリフォルニア・タイミング・アソシエーション)公認)を保持しているほか、エル・ミラージュ乾湖でも時速211.7マイルの記録を打ち出すなど、各種の記録を有しているほか、同社の市販電動オートバイ「LS-218」は2013年、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムで、レース・トゥ・ザ・クラウドのオープンクラスを走行し、ガソリンオートバイに20秒以上の差をつけて優勝した実績もあるという。
近年、同社は航続距離の延長と充電時間の短縮化に向けてバッテリーパックの技術革新に注力しており、最新世代では、一般的なグラファイトアノードをシリコンアノードに置き換えることでエネルギー密度300Wh/kgを実現。これにより現在の同社のトップグレードの電動オートバイの航続距離は170マイル以上を達成しつつ、10分間で80%の充電を可能にしたという。
また、技術革新に併せて搭載される電子機器については重量を増やさずに電力を増やす必要性が生じていたとのことで、電気的なノイズへの対応も含め、全車種にVicorのDCM電源モジュール「DCM4623 DC-DCコンバータ」を採用し、12V制御の電子機器、照明システム、計器類、センサへの電力供給を行うことを決定したという。ライトニングでは、この採用を決めた理由として、高い信頼性、低ノイズ、高い電力密度、優れた放熱性能などを挙げている。
一方、Vicorでは、高い過渡電圧ステップ(V/μs)に対応するときの、バッテリーとDCMの安全、確実な接続が課題の1つとしてあり、その対処のためにプリチャージ回路と入力フィルタを組み込み、オン・オフ時の安定した動作を可能にするサポートを行ったと説明している。
なお、ライトニングでは2023年中に南カリフォルニアのエル・ミラージュ乾湖にて、自社が打ち立てた最高時速記録の更新を目指すとしているほか、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)からの招待を受ける形で、ボリビアのウユニ塩湖での陸上スピードイベントに参加することも予定しているという。