ロームは、シリコン半導体の加工技術を生かし、製品サイズの小型化と高機能性を両立させた同社初となるシリコンキャパシタ「BTD1RVFLシリーズ」を新たに開発したことを発表した。
シリコンキャパシタは、半導体プロセス技術を活用して製造されるコンデンサで、積層セラミックコンデンサ(MLCC)と比べて小型・薄型ながら静電容量を大きくできることなどから、スマートフォンやウェアラブル機器などで採用が進みつつあるという。
同製品シリーズは、1μm単位での加工を可能にする独自の微細化技術「RASMID(ラスミッド)工法」により外観形成時の欠けを無くし、寸法公差を±10µm以内に高精度化するなど、製品サイズのばらつきを抑えたことで、部品の隣接距離を狭めた実装が可能なほか、基板との接合に用いる裏面電極をパッケージの周縁部まで拡大することで実装強度を一般品(0603サイズ)と比べて約8%増となる約2.6Nまで向上させることに成功したとする。
また、面実装タイプの量産品シリコンキャパシタの一般的なサイズが0603(0.6mm×0.3mm)であるのに対し、同製品シリーズは0402サイズ(0.4mm×0.2mm)を実現。実装面積が0.08mm2と、一般品の0603サイズと比べて約55%ほど削減できるため、アプリケーションの小型化が可能だともしている。
さらに、TVS保護素子を内蔵することにより、回路や機器の誤作動や破壊を引き起こすとされる静電気放電(ESD)に対しても高い耐久性を実現していることから、サージ対策などの回路設計工数の削減なども図ることができるともしている。
なお同製品シリーズの生産は前工程がローム滋賀工場、後工程が福岡に拠点をもつローム・アポロとしており、すでに静電容量1000pF品「BTD1RVFL102」と、470pF品「BTD1RVFL471」の量産を開始。1個あたりサンプル価格は800円(税別)にて、コアスタッフオンラインもしくはチップワンストップのオンラインサイトから購入が可能となっている。また、2024年には高速・大容量通信機器などに向けて、高周波特性に優れた第2弾シリーズを2024年に開発予定だとしており、今後もさらなる適応アプリケーションの拡大を目指していくとしている。