図研は9月19日、AIを搭載したプリント基板およびアドバンストパッケージ設計用自動配置配線機能「Autonomous Intelligent Place and Route(AIPR)」を発表した。
同機能は同社のシステムレベル マルチボード設計環境「CR-8000 Design Force」のオプションソフトウェア製品という位置づけで、同社において学習済みの特徴データベースを利用した自動配置配線機能のほか、基板内の類似パターンを認識して一括で配線する模倣配線、コネクタやBGAへのバス配線を自動生成するバス終端配線候補生成など汎用的な機能が提供される。また今後は、順次機能強化を進め、より幅広い設計要件に対して柔軟に適用可能なソリューションとして発展させていき、最終的にはユーザー固有の設計要件を学習させることで独自の特徴データベースを形成し、それを戦略的に切り替えて自律的な自動配置配線を行うフローを実現することが計画されているという。
主な製品機能としては、「Autonomous Intelligent Place and Route(AIPR)」のほか、「Basic Brain」「Dynamic Brain」「Autonomous Brain」の合計4つが用意される。AIPRは、AI技術を活用した新しい自動配置配線のプラットフォームで、従来製品で高速信号回路設計に有用な設計アシストツール「Intelligent Place and Route」の機能も含んでおり、AIを活用した自動設計機能と組み合わせることで、より高精度な設計と設計時間の短縮を図ることができるようになると同社では説明している。Basic Brainは、同社による学習済み特徴データベースを利用したAI自動配置配線機能で、これまで蓄積してきた同社の基板設計のナレッジと新開発のAIエンジンを組み合わせることで、類似パターンを認識し、配線する模倣配線、バス配線を自動生成するバス終端配線候補生成などの機能を提供するという。Dynamic Brainは、ユーザーの設計資産や新たな設計データを学習させた特徴データベースを活用するAI自動配置配線機能で、AIにユーザの設計資産や新たな設計データを設計対象物のアプリケーション分野などの特徴別に学習させることで、対象分野別に設計者のナレッジや嗜好を汲み取った設計を実行することを可能にするという。Autonomous Brainは、AIが対象分野別の複数の特徴データベースを戦略的かつ自律的に選択して配置配線設計を繰り返し、設計を最適化する自律的なAI自動配置配線機能で、Dynamic Brainの学習データを活用することで、AIが設計者の思考に近い自動配置配線を実行できるようになり、人手の設計に限りなく近い基板の自動設計を実現するとしている。
なお、これらの機能は「CR-8000 Design Force 2024」から利用が可能になり、AIPRおよびBasic Brainの日本語版/グローバル(英語)版は、いずれも2023年度末のリリース開始を予定。Dynamic BrainおよびAutonomous Brainについては、2024年度以降に順次リリースを行っていく予定だという。