パナソニック ホールディングス(HD) 執行役員 PanasonicWELL本部 本部長の松岡陽子氏はこのほど、報道陣の合同取材に応じ、自身がCEOを務めるパナソニックHD子会社のYohana(ヨハナ)の現状について説明を行い、また、世界で話題になっている生成AI(人工知能)に対する個人の見解も示した。

「生成AIはあくまでもツール。現段階では自信をもって嘘をつくこともある。革新的なテクノロジーであることに間違いないが、最終的な判断は人間が行う『Human in the loop』という考え方が大事だ」と、松岡氏は自身の生成AIに対する見解を明かした。

  • パナソニック ホールディングス(HD) 執行役員 PanasonicWELL本部 本部長 兼 Yohana CEOの松岡陽子氏

    パナソニック ホールディングス(HD) 執行役員 PanasonicWELL本部 本部長 兼 Yohana CEOの松岡陽子氏

松岡氏は、米Appleや米Googleの副社長などシリコンバレーにおける要職を歴任した後、2019年10月にパナソニック(現パナソニックHD)に入社。2020年にYohanaを設立した。

Yohanaは、ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」を展開している。同サービスは、ユーザーがアプリを通じてタスクを依頼すると、専門チームそのタスクをこなすための支援を行うサービス。例えば、毎日の献立と買い物リストの作成、食材手配、子どもの習いごと探し、旅行の手配などさまざまなタスクに対応する。

  • ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」サービス概要

    ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」サービス概要

2021年9月に米シアトルでサービス提供を開始し、2022年10月に全米に拡大。日本国内では2022年9月より神奈川県でスタート。2023年9月現在、東京都、埼玉県、千葉県を含む一都三県でサービスを展開している。

「ドローンやAIなど世の中の発展は素晴らしいが、家族のくらしにフォーカスしてテクノロジーを生かしきれていない。家の中はまだまだアナログな世界だ」と、松岡氏はサービスの開発背景を語った。

これまで日米で累計約12万件以上のタスクを支援。国内のユーザー層は30~40代の子育て世帯が中心だが、50代以上や単身者、男性の利用も多いという。国内で最も依頼件数が多いのは、献立の提案や買い物リストの作成などを行う食べ物関連のカテゴリー。また、習い事や塾関連などの教育カテゴリーも米国に比べてはるかに人気だという。

  • Yohanaメンバーシップ利用動向

    Yohanaメンバーシップ利用動向

ユーザーからは「調べものをしなくてはいけないというイライラが減った」(40代女性)、「何か困ったらすぐに投げられる場所があるという安心感がある」(40代男性)といった声が寄せられている。松岡氏は「同情的な対応ができたり、クリエイティブな発想でユーザーも気づいていなかったサポートができたりと、人間にしかできないことは多い」と同サービスの魅力を説明。

また同サービスは、2023年9月で日本でのサービス提供開始から1周年を迎える。そのタイミングで月額料金を1万8000円から1万円(いずれも税込)に改定した。「ユーザーから値下げを要望されたわけではない。調査結果からファミリー以外の層からも多く利用されていることが分かった。さらに多くの層にリーチするため価格を改定した」(松岡氏)とのことだ。

  • 2023年9月からサービスをアップデート

    2023年9月からサービスをアップデート

「将来的には全国でサービスを提供できるよう、ユーザーからの意見を反映し続けていきたい。これからも、部屋を整頓したり、献立を考えたり、くらしの大変なことを聞いたりと、身近で頼れる存在になっていきたい」(松岡氏)